
『モー革命 −山地酪農で「無農薬牛乳」をつくる』
古庄弘枝著
発行 教育史料出版会
定価 1500円+消費税
発行 教育史料出版会
定価 1500円+消費税
日本の牛乳の97パーセントは牛舎内で飼われているという。のどかな牧場で草を食む乳業とは牛乳パックの絵だけの世界で、次から次へとお産を強いられ、子牛からも引き離されて「牛乳を出す機械」のように扱われる工場的酪農が現実の姿だ。
ノンフィクションライターの著者は、一方ではそのような慣行酪農の現場も歩きつつ、この本のテーマである山地(やまち)酪農の牧場を北から南へ、全国6ヶ所を訪ね、その魅力を綴る。そこに暮らし、働く人びとの想いや来し方が中心だが、山地酪農の歴史や理論、提唱者楢原恭爾さんの人となりについても読み進めるうちに浮かび上がってくる。
「山地酪農」とは、「急傾斜の山地を日本芝で草地化して牛を周年放牧し、牛乳を生産する酪農」(『有機農業ハンドブック』より)である。本来は寒さにも強い牛を、日本の山地に合った芝をエサにして外で放し飼いにする。芝の草地が成熟するまでに数年間を要するが、その後は「楽農」で、金も手間もあまりかからないで良質の牛乳が搾れる。輸入穀物に依存することなく、日本にある豊かな山地を活用する日本の気候風土に合った持続的な酪農の道である。本書は、そのような山地酪農を切り拓いてきた人々の物語である。
登場するのは、中洞牧場(岩手)、斉藤(晶)牧場(北海道・旭川)、熊谷牧場(岩手)、斉藤(陽一)牧場(高知)、シックス・プロデュース(島根)、岩崎牧場(島根)である。
(久保田 裕子)