発行 家の光協会 163頁
定価 2000円+税
発行 家の光協会 215頁
定価 1600円+税
有機農業大国イタリアに学ぼう!!
二つの本はともにイタリアの有機農業を取り上げたものである。スローフードを中心にイタリアの食についての関心
が高まっているが、イタリア農業に関する文献はきわめて乏しく、またイタリアが世界有数の有機農業大国であることに
ついてはほとんど知られていない現状からして、貴重な文献であるといえよう。
そのイタリアで「有機農業の伝道者」としてよく知られているのがジーノ・ジロロモーニ氏であり、地中海有機農業協
会(AMAB)の会長でもある。そのジーノ氏自らの手になるのが「イタリア有機農業の魂は叫ぶ」である。本書ではイ
タリアにおける有機農業への取組の歴史、地中海沿岸諸国の有機農業への取組の現状等貴重な情報が記されているが、本
書の真骨頂は第1、2章にまたがって記されている「アルチェ・ネロの挑戦」にある。都市への激しい人口流出によって過
疎化していく農村を復興させていくために、ジーノ氏がリーダーシップをとって有機農業を軸に農産加工、アグリツーリ
ズモ、文化活動等に苦闘しながら、地域雇用の確保や環境保全、地域の活性化を実現してきた様が熱く描かれている。ジー
ノ氏にとって有機農業とは、単なる無農薬・無化学肥料栽培なのではなく、「有機農業は、文化的な挑戦にほかならない。
勝利するためには、経済的な合理性を明らかに」していくことが必要であり、グローバル経済から逃れ得ない地域の中で「
命」を大切にしながら生産と生活・暮らしを融合させていく広範な営み全体をさすものである、ように理解され、その哲学
と行動から推進力・指導力とは何かをも教えられるのである。
拙著「オーガニックなイタリア農村見聞録」は、イタリアが何故世界有数の有機農業大国になり得たのかを探りつつ各地
の農村を訪ね、イタリア農業・農村の本質に迫ろうとしたものである。ジーノ氏を含む現場・地域で頑張っている多くの生
産者等と出会い、彼らの語る有機農業、WTO、地域、EU等々について多くのページを割いているが、実はこうしたやり
とりを踏まえて日本農業はどうあるべきかを考察するところに本書の究極の狙いはある。戦後一貫してアメリカ型農業をモ
デルとしてきたわが国にとって、地理的・気候風土的多様性を生かした農業を展開しているイタリアに学ぶべきことは多い
と同時に、地域に対する誇りの高さ、個性豊かな農業を展開していくについての信念とこだわりがあってこそ、地域性を生
かしたイタリア農業が存在していることを痛感させられたのである。
((株)農林中金総合研究所 特別理事 蔦谷栄一)