
『フィリピンバナナのその後』
中村洋子著
発行 七つ森書館
定価 3500円+税
発行 七つ森書館
定価 3500円+税
多国籍企業の操業現場と多国籍企業の規制
すでに今から20年以上も前のことになるが、1980年、バナナをめぐって、鮮烈な衝撃が日本中を駆けめぐった。『人を喰うバナナ』と題するスライドもそうだったが、フィリピンのバナナ農園から日本に来た労働者ドドン・サントス氏が各地で講演をして回り、バナナ労働者の過酷な労働や暮らしの実態を赤裸々に訴えたのだ。
耕す者に土地所有を求める労働組合への弾圧、空から散布される農薬に汚染される飲み水や住居−多くの人々の目は、薬漬けのバナナの安全性問題に向けられてしまったが、この問題を真正面から受け止めた市民運動が生まれた。
著者らのフィリピン情報センター・ナゴヤは、バナナ労働者と連帯し、資本を握る住友商事に対し、危険度の高い農薬の使用中止を働きかけるなど、活発な運動を展開した。
本書は、その記録であり、そのような運動が行われた証言でもある。同時に、多国籍企業の横暴とその規制問題、農薬問題などを改めて今も続く課題として問題提起する。力のこもった好著である。
(久保田 裕子)