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『食育と炭やき』

池嶋庸元著
発行 論創社
定価 2100円+税
 

 五感と手づくりの文化! 食育と炭やき

 「食」という字は「人をよくする」「人に良い」と書く。いつの時代でも、食は元気のもと、健康に生きるためのエネルギー源であることにかわりはない。
 近年、この食に寄せる人々の関心が希薄になり、食の価値が軽んじられているライフスタイルへの反省をこめて、いま「食育」の大切さを再認識しようという運動が国際的規模で推進されている。
 食についての正しい知識の育成と習得、食の情報の提供と交流を活性化し、質・量ともに、安全・安心な食の確保を「食育」という言葉で表現し、知育・徳育・体育に優先して、これを周知徹底させることを目指している。
 食生活の世界的な傾向として、食材・食品づくりの集中生産方式による量産化・効率化によるコストの低減、ファストフードなどに象徴される外食偏向による栄養のアンバランス、飽食・過体重・肥満など、さまざまな健康障害への影響が指摘されている。「食育」は、こうした食生活の実態を危惧し、根本的な改善策の一環として、古くから継承されてきた、もうひとつの食文化のあり方「スローフード」「スローライフ」の価値を見直す運動でもある。スローフードは単に「食事をゆっくり味わいながら食べる」というだけの意味ではなく、たとえば、地元で取れる旬の食材を手間ひまかけて調理し、個性豊かな手づくりの味、伝統的な地域の食文化を守り続けていこうという運動でもある。
 そこには華々しいハイテクの世界とは無縁の山林で、むかしながらの技法で炭をやく人々の姿が重なる。最新の工場生産方式ではやけない高品質の炭を、長年、磨き上げてきた五感を信じ、手づくりでやき上げるクラフトマンシップが厳然と生きている。
 古来、人間は、火を使って食べ物を調理してきた。食材を加熱すると食べやすくなり、風味が増し、からだの芯から暖まる。火の周囲には人が集まり、コミュニケーションの輪が広がり、コミュニティ(集落)が生まれる。この火を、より有効に利用するための道具として炭が考案され、いまも高級クッキング燃料として珍重されている。こうした炭の存在にも、「食育」と「炭やき」の時代を超えたつながりが感じられる。
 「木炭・竹炭大百貨」シリーズの第4巻にあたる本書は、読者各位からの強いご要請に応え、「食育」と「炭やき」のジョイント構成を試みた。
 ご好評を博している炭やきの知識・技術、関連製品の最新情報に加え、新しく食育関連の知識・情報と安全・安心の食材・食品とその製造・販売元の紹介紙面を新設した。
 環境資材・農業資材・生活資材・として無限の可能性を秘めた炭の有効利用と食生活の改善・健康づくりの一助にお役立ていただければ幸いである。

(池嶋 庸元)

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