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表紙写真


『教育農場の四季』

澤登 早苗 著
1,600円+税
四六判・160ページ
2005年5月
発売 コモンズ  

 有機農業教育10年の結実

 「4本足の鶏の絵を描く大学生」が話題を呼んだのはいつ頃だったか? 本書の基本となった「生活園芸Ⅰ」(有機農業実習)を受講する女子学生も、1年生の当初に描いた野菜の種の出来る様子の絵を見るかぎり、その想像力はたくましい。その学生が1年間の実習の体験後、命ある食べもの姿に感動し、自然に癒され、生物の共存の姿に関心を寄せる様子は、まさに有機農業の教育力のすごさを実感させてくれる。
 教育機関として初めて有機JAS認定を受けた恵泉女学園大学で、有機農業教育に携わってきた著者の10年間の実践と、その苦労が本書に結実されている。本書は、教育機関での有機農業の実際(取り組み実践)であるとともに、実際に有機園芸で野菜を育てる人々のための入門書としても読むことができることから、万人の書といってもよいだろう。

 全体は、5つの章から構成されており、以下の通り概要がわかる。

第1章 園芸教育の大きな効果
 ―大学における有機農業プログラムの実践から
  農業のもつ教育力/どんな農業が教育力を発揮するのか/高等教育機関における有機農業教育/恵泉女学園大学における有機農業教育/有機農業教育の課題
第2章 教育農場の生活園芸
  収穫物の年間カレンダー/作業時の服装基本スタイル/作物栽培に必要な農具・道具・肥料/教育農場の四季/農場で見られる生き物たち/収穫・貯蔵・利用/食べものだけでなく装飾品も/いっしょに考えてみよう/野菜たっぷりおいしいレシピ/学生は何を感じたのか
第3章 有機農業の基本と栽培技術
  有機栽培にどう切り替えるか/有機農業の基本的な考え方/有機農業の共通技術
第4章 野菜と花の上手な栽培方法
  ジャガイモ/キュウリ/サツマイモ/サトイモ/ハクサイ/ダイコン/カブ/ラディッシュ/チンゲンサイ/サニーレタスほか多数
第5章「総合的な学習の時間」のための栽培プログラム
  初級者プラン〜上級者プラン/教育農場で育てる野菜の各国語での呼び方

 有機農業は、命を育て、はぐくむ実践であり思想であるとともに、広義の教育力を含みこんでいることを本書は私たちに教えてくれる。若い学生たちと一緒に学ぶ気分を味わいながら、素敵なイラスト付きで無農薬による野菜の育て方を基礎から学んでみようという方に、ぜひお奨めしたい。

(古沢 広祐)

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