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『食・農・環境の経済学』

河野直践著
発行 七つ森書館
定価 2300円+税
 

 「農」は「産業」ではない

 早いもので、私が本会に入って四半世紀になります。当時はまだ大学生で会の先輩方に可愛がっていただいた私も、今ではもう完璧な「オヤジ」です。
 江戸っ子の私は、農業とは無縁の世界で育ちましたが、食生活研究会の浅井まり子さんに佐渡に連れていってもらったのがきっかけで、有機農業に触れました。卒業後は農協に勤めつつ、畑を借りて週末農業をしたり、原発反対運動をしたりの生活でしたが、あろうことかその果てに、大学で農業経済を教える身となりました。
 むろん、何かの間違いで大学に採用されただけですし、農業経済学者のなかでは完全に異端です。しかし、異端だからこそ言いたいことも多々あるということで、「食・農・環境」について論じた本を出しました。内容は、以下の3章構成です。
第一章 元気印の「食と農」 ―地産地消と都市農村交流の風景―
 役人も学者もマスコミも、日本農業の近代化・大規模化・産業化が必要だと、相も変わらず叫んでいます。しかし、食と農の「元気印」現場がどこにあるかを見れば、そんな路線がとうに破綻していることは、もはや明白。直売所や地産地消ブーム、都市農村交流や有機農業の活発化は、「農」を「産業」ではなく、「生活」として位置づけ直せと我々に語っています。有機農業者の先見性を再評価するとともに、「主流派」の農政官僚や農業経済学者などの愚かさを、徹底的にこきおろした章。
第二章 脅かされる「食・農・環境」 ―原子力施設の立地と地域農業―
 世界ではもう「脱原発」が常識だというのに、日本はまだ国をあげて原発を推進しています。時代錯誤もはなはだしいばかりか、原発ができれば地域や農業も発展するかのような虚偽宣伝すらされています。怒りの臨界に達した私が、原発ができれば、地域農業は必ず衰退するという真実を、統計と現地調査で証明した章。あわせて、農業者の団結や都市住民との連帯で原発計画を追い出した、賢明なる事例を多々紹介した、「原発よりも農業だ!」の章。
第三章 「食・農・環境」の再生
 都会では、「都市再生」の名目で巨大開発が行われ、農村では、「規制緩和」の名目で、株式会社の農業参入が進んでいます。このままでは、環境は破壊し尽され、農地も外国企業の手に渡り、巨大アグリビジネスが生産した遺伝子組み換え農作物を、独占価格で人々が買うしかない、暗黒の未来が来るにちがいありません。そのことに警鐘を鳴らすとともに、私と有機農業運動の出会いも振り返りながら、消費者と農業間の協同、協同組合運動の再生、農的社会の実現などを提起した、将来展望の章。
 少し過激な紹介文になりましたが、事例も豊富に盛り込み、平易に書いたつもりです。ぜひ、読んでください。

(河野 直践)

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