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『アメリカのCSA:  
  地域が支える農業』

D・ラス、G・W・スティーブンソン、
J・ヘンドリックス、K・ルフ 著
解題・翻訳/大山 利男
(財)農政調査委員会 刊

 『のびゆく農業』−世界の農政− 944
 本書は、アメリカ合衆国におけるCSAの実態調査のレポ一トの翻訳である。内容は、二〇〇〇年春に実施したアンケート調査に研究者及び活動家の知見を加えてまとめられたものとなっている。
 この調査からの知見として、相対的に教育水準が高い人がCSA農場に取り組んでおり(アメリカらしい人種的事情から白人が多いようである)、若い女性の積極的な参加も多いことが指摘されている。また、農地の権利関係については、伝統的なものとは異なる(農業者以外の)CSA組織の所有や大学、教会などの非営利組織などによる所有がみられることも特徴のようだ。
 社会情勢や農地法制、農業経営の状況など日本と異なる点も多いことから、データやその分析・考察については、必ずしもこの書を読むだけでは理解できない局面もある。アメリカの社会・農業問題の解説書を併せて読めば、もっと理解が深まるだろう。
 すでに言われていることであるが、CSAの取り組みは、日本の産消提携と類似している点も多い。とくに、消費者グループのまとめ役として自己組織されるボランタリーなグル一プであるコアグループの存在がCSAの社会活動への積極さに表れていることなどは、産肖提携と共通しているように思われる。しかしながら、それらを実際に比較していくだけの現況のデータが日本にはない。今後のCSA調査の進展はもとより、日本でも産消提携について同様の調査の必要を感じる。
 また、最後に箇条書きに記されている、著者たちの問題意識と今後の研究課題からもわかるように、これからやらなければならないこと、今回の調査報告だけでは未解明な部分が数多くある。この種の研究は端緒についたばかりであり、今後の継続的な取り組みが望まれる。  アンケートの回収状況から、必ずしもアメリカ全土のCSAの現状を描き出しているとは言えないことが断られているが、全米で千以上になるというCSA農場のデータとしては初のものである。訳者の大山氏も解題で述べている通り、CSAや産消提携、地産地消を進めようとする人たちにとって、経験と検討すべき課題を共有するための第一歩となる書であり、その点での資料的価値が高く評価できる。

※この本は、一般の書店では販売しておりません。(財)農政調査委員会に直接ご注文ください。電話は、03(3910)7223、FAXは、03(3910)7267です。

(横田 茂永・東京農工大学特別研究員)

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