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表紙写真

『みみず物語』

小泉英政著
2004年、216頁
  本体1800円+税
 コモンズ刊

 「有機農法」にこだわり始めると、行きつく先は「自然農法」ということになるのだろうか?
 五、六年前頃から「小泉さんがワンパックを止めたらしい」、とか「小泉さんが自然農法になったらしい」、といった噂を耳にし始めていた。 小泉さんの有機農業へのこだわり方、その神髄を披瀝したものが、今回著わされたこの本といえるだろう。 読んで私も納得。まえがきにある通りだ。
 「農薬や化学肥料を用いない有機農業を二五年ぐらいやってきた。でもいきづまりを感じ、一から出直すことにした。 牛糞堆肥をやめた。鶏糞や油かす、魚粉などもやめた。外から買い求めるのは米ぬかだけ。(中途略) ビニールハウス、ビニールトンネル、ポリマルチ、みんなやめた。野菜はすべて露地栽培。……」 そして「意識的に自給自足の方向に向かう」。収入が少ないけれど支出も少ないという採算のとり方。 で、九六年が、自家採種元年ということで、できる限り種も自給自足。その後、種を取りもとったり、その数約一二○品種。栽培する野菜の七割近くになったとのこと。
 私達が初めて小泉さんに会ったのは有機農研に青年部を発足させて間もなくのことで、小泉さんは当時事務局を担当した大竹レイ子さんと大竹イセ子さんの二人(現在結婚され名前は変っている)からの、「成田闘争から有機農家になったステキな人がいる」との熱い希望で講師として来ていただいた時だった。 肩まで届く長髪が細面の顔にマッチ。黒い大きな瞳をどこか遠くを見るようにじっと見据えながら、たんたんと彼の三里塚で有機農業をするようになったいきさつを語った。 今風にいうと、イケメン三二歳の頃。それから二〇数年が経ち、五〇代中半、就農三〇年の節目にこの本が出たわけである。
 これは、ここ九年間に「三里塚情報」とインターネット上の図書館「青空文庫」に掲載されたものをまとめたもので、小泉さんが如何に日々を感じ、如何に循環農場完成に向けて工夫、観察、そして農を通して自然に溶け込みつつあるかが、素晴らしい文章で語られている。 小泉さんの肩書きに「詩人」と付け加えたくなる程だ。その文章家ぶりはちょうど、この『土と健康』の農場だよりでも発揮されているので、是非お読みいただきたい。
 以上、小泉絶賛論になってしまったけど、最後に注文。今後は、あなたのパートナー、美代さんのことももっと加えて欲しい。 もっとも本人は文中で「私のこと、あまり書かないで」と言っておいでだけど。 裏で女達の働きも凄いということを、美代さんを通じて知らせてよね。

(埼玉県小川町 金子友子)

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