【書評】『金子さんちの有機家庭菜園』
(上杉幸康)

発行:家の光協会
本体価格1500円+税
すぐに役立つ実用書です。初心者にもわかりやすい入門書。すでに始めている人には、座右におきたい専門書です。どのページを開いても、「私にもできそう、試してみたい」気持になって、作物つくりが急に身近になります。土つくりから、種子の自家採種まで、各作物ごとの絵ときも楽しい。読みながら作る、作りながら読む。読むだけでも、著者の有機農業三〇年、耕し続けている生きざまを知ることができます。本会発足当初から有機農業の普及、発展に努めている金子美登さんの技術、考え方が記されています。
「文化の出発点は耕すこと。農業は、人間がそれによって生存している文化である。消費する文化ではなく、生産する文化」だといいます。(『栽培植物と農耕の起源』)農具を使って土を耕すこと。土との距離がいつも身近であることで自他を育む。著者の日常は正にそのとおりです。
「雑草の効用」のところを読んでいて、昨年の田んぼの草取りを思いだします。
稲のまわりに生い茂った「にっくき」コナギ。しゃがんでよく見ると小さな青紫の花が咲いています。こいつ、かわいいよ。セリを引き抜くと、大きな穴があくほど土をつかんで、根を張っています。すごい勢いで繁殖します。緑の茎と葉には黄アゲハの幼虫がたくさんとまっていて、彼らの生きる場所に。草取りもほどほどになってしまいました。
自分で食べる分くらいは作ってみたい。近くに畑が欲しくなる、農具も手元におきたいと思う。「小さな百姓」への誘惑がいっぱい詰まっているハンドブックです。
