JAPAN ORGANIC AGRICULTURE ASSOCIATION

日本有機農業研究会

第46回日本有機農業研究会全国大会総会を開催

■報告と御礼
 このたびは、第46回日本有機農業研究会全国大会・総会「全国有機農業の集い2018 in東京」にご参加、ご協力を賜り誠にありがとうございました。 おかげさまで、3月9〜10日の2日間を通して全国から220名の参加がありました。心よりお礼申し上げます。
 昨年10月下旬スタートの急ごしらえの実行委員会ではありましたが、有機農業に魅せられて入会し実行委員となった若手の人たちが中心になって大会の企画を構想しました。 有機農業に関心を持ってもらうべく関係メディアを洗い出し、フェイスブックなどSNSも活用して、 大会及び日本有機農業研究会の広報に努めました。東京都の後援のおかげで、都内の公的施設にチラシを配布することもできました。
 当日の運営には、実行委員に加え、9名がボランティアとして、会場設営、受付、会場案内に協力してくださいました。 足立区都市農業公園の農業アシスタントの皆様、安全な食べ物をつくって食べる会の皆様、やぎ農園の皆様、誠にありがとうございました。
 広報活動が効を奏して、第1日目午後の映画&講演会「食卓は訴える! しのびよる食べ物の危機」は、 会場の定員を大幅に上回る参加申込みがあり、急遽、2部屋を使用して映画と講演を交互に行う対応となりました。 講師の天笠啓祐さんには、同じ講演を2回していただきました。講演は大変好評で、遺伝子組み換え食品の真実がわかった、 毎日の食の見直しをしたい等の声が届きました。夜の「くるま座分散会」は、9つのテーマ別の部屋を用意しましたが、どの部屋でも時間の許す限り、熱い思いの語り合いが続きました。
 2日目は種苗交換会からスタートしました。討論会は7〜8名の小グループに分かれて、ワークショップ形式で行いました。 分散会同様、初対面の人と自由に話せる機会になり好評でしたが、時間不足で議論が深まらなかったという意見もありました。 ワークショップは初めての試みで課題も残りましたが、今後にむけて、生産者と消費者をつなぐ場づくり、方法を検討していきたいと思います。
 午後のメインセッション「実践報告と討論」は6名の方から、お一人15分で実践報告をしていただきました。 子どもたちのおかれている現状課題の共有、解決策、実行の状況などについて報告していただきました。 短時間にこれだけの実践報告を聞ける機会はめったにないと大変好評でした。 具体的な取り組みがわかりとても参考になった、何かできそうな気がしたとの声もあり、うれしいことでした。
 2日目の最後に、大会アピールを採択しました。私たちは、未来の世代に対してどう責任を取るのか。 解決策は「有機農業の推進」にあることを改めて確認できた大会でした。本大会が、明日の行動につながることを期待します。
 皆様、ご協力いただきありがとうございました。

全国有機農業の集い2018 in 東京実行委員会委員長 若島礼子
                          同事務局長 吉川直子


■大会アピール
 55年前の1962年、 レイチェル・カーソンが 『沈黙の春』 で殺虫剤などの農薬の乱用を告発したとおり、私たちは今、 「鳥も啼かない、花も咲かない」 世界の最終章に向かって歩んでいます。 農薬など化学物質による環境汚染の広がりは、私たちが生きる土台である空気・水・土・食べ物に及び、 さまざまな疾患の増加や生殖異常等の健康被害が出ています。 子ども・胎児の脳への悪影響も懸念されています。 遺伝子組み換えもゲノム編集も、 人間だけに都合のよい生命の操作や生態系の改変であり、 人間の生命までもがそこなわれるのだと思い知らされる研究報告が次々に出されています。
 こうした事実を知った私たちは、未来の世代に対してどう責任をとるのでしょうか。
 有機農業の推進は、 その重要な解決策です。 有機農業は環境を守り、 生産者と消費者が一緒になって「いのち」を育む農業です。豊かないのちを育み、虫かごを持って遊びにいける畑を、老いも若きもともに働ける田畑を次世代に残す農業です。 先祖が伝えてきた食文化や、 代々守り抜いてきた種子 (たね) を守る農業です。 そんな有機農業を通し、食と農の大切さを今一度見直し、 「本来のおいしさ」 と安全な食の環境を子どもたちにっなぐのは私たちの役目です。
 日本有機農業研究会が「提携」(産消提携)を柱に有機農業を推進して47年。生産者と消費者がともに支え合う地道な有機農業は、生産者の「有機農業の技」を磨き、都市と農村の「縁」を深めました。 それらは今、 バーチャル全盛の時代にあって、 ひときわ存在感を放つものになっています。なぜなら、それらは「虚」ではなく「実」そのものだからです。
 有機農業の田畑に立つたとき、 足元から得られる力強さ、 喜びはひとしおです。 生物の賑わいにあふれ、 虫も鳥も人間も等しく生命が肯定される場所だからです。 幸福は物量や金銭によってもたらされるものではなく、 地に足のついた、 身の丈にあった日々の暮らしからにじみ出るものではないでしょうか。
 さあ、 これからの世代のために、世界各国の人々と手を携え、今日からできることを始めましょう。 未来の世代の子どもたちから、 「知っていたのに何もしてくれなかった」 と無為無策を告発されないように。

「有機な生活」への5つのヒント
☆ 食卓や田畑から農薬を減らしましょう。 とりわけネオニコチノイ ド系農薬を避けましょう。
☆ 遺伝子組み換え食品・家畜飼料・資材を避けましょう。
☆ 家庭用殺虫剤、抗菌・防力ビグッズ、香料など身近な化学物質を避けましょう。
☆ 有機農業でつくった食べ物を食べましょう。 食べ物が私たちの体をつくります。
☆ 「提携」は有機農家と消費者を直接「縁」で結ぶつながりです。「提携」を広げましょう。

2018年3月9-10日
全国有機農業の集い2018 in東京 実行委員会


■第46回 日本有機農業研究会通常総会 総会メッセージ(活動の方向性総論)
1 平和と非暴力を愛する農業・社会をめざそう
 有機農業は、すべてのいのちと共に生き、いのちを育み、いのち響き合う豊かな自然をつくる。有機農業はまた、人や社会に対しても永続的・有機的なつながりを積極的に広げ、人々の心が通い合う非暴力で平和な社会を築く営みである。今日、近隣諸国との領土問題や軍備増強、憲法改定問題などで揺れるなか、今こそ、いのち響き合い、「食と農」、「土と自然」、「平和・非暴力」を土台とする社会へ向け、「有機農業」の真価を発揮する時である。

2 「3・11」の教訓を風化させず、原発再稼働に反対する
 「3・11」の原発事故に際して私たちは、「原発は、いのちの原理に反する」「すべての原子炉廃炉に!」と、総会で特別アピールを決議し内外に発した。事故から7年経ち、原発再稼働の動きが出ているが、これに強く抗議し、私たちは再度、「原発といのち・くらしは共存できない」、「原発のない社会」をつくることを訴える。
 森・里・海はいのちの基盤であり、これ以上の汚染は許されない。各地の再稼働反対の行動や原発差し止め・廃炉訴訟の裁判等に連帯していく。
 福島支援について、引き続き福島東北有機農業支援委員会の福島有機農学校・猫の手の活動を行う。エネルギーについては、周辺の環境に配慮した小規模分散型・再生可能エネルギーの採用などを採り入れていくことも提唱する。

3 TPP・EPA・FTA等による、農業・農村の破壊、食の安全・健康・環境・社会的公正の後退・ 破壊を許さない
 大企業優先、貿易優先のグローバリズムは、農業、農村崩壊の危機を招き、日本社会の基盤そのものをも突き崩そうとしている。今後、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)、経済連携協定(EPA)・自由貿易協定(FTA)の交渉・締結が加速するとみられるが、それにより、食の安全・健康・環境・社会的公正に関わる諸制度が後退するようなことがあれば、これに断固、反対していく。

4 種子を守ろう
 種子は、農業、食料の基盤となる重要なものである。グローバリズムにより、種子の企業支配が危ぶまれている。ローカルな都道府県等による公共の種子の基礎研究、育種、供給体制を堅持すべきである。日本の種子(たね)を守る会の活動とも連携していく。
 そしてまた、農民が種子を採り、次の年に播いて育てること、すなわち自家採種は、“農民の権利”である。この権利が侵されないよう、守らなければならない。地域に世代を超えて伝わる在来品種は、多様で豊かな食文化を創り出してきた。だいじに守り継承されてきたこれらの種子を次世代に引き継いでいきたい。そのためのしくみについても検討を重ね、実践していく。

5 結成趣意書の原点、自立・互助の協同の精神に立ち、小規模・家族農業の有機農家と都市生活者等との「提携」をいっそう拡大し、自給・協同・有機農業を広めよう
 グローバル化・大企業支配と産地間競争は、有機の世界にも及んでいる。「市場原理」に飲み込まれないための対抗軸として、今こそ地域に根差した自立する小規模・家族農家と都市生活者(消費者)・小規模実需者等との「提携」を明瞭に打ち出し、広げていこう。
 分かち合い・助け合いの「協同組合の思想と実践」はユネスコ無形文化遺産となり(2016)、国連「家族農業の10年」(2019―2029)も始まる。世界大の視野に立ち、食と農と環境を確かなものにしていく活動を地域ですすめよう。各地で「提携フォーラム」を開催し、消費者参加型の提携推奨PGSプログラムなどを進め、人と人の友好的関係を本質とする「提携」の社会的存在意義を広く知らせていく。

6 次世代の子どもたちに「有機」の食べものを提供することが急務
 子どもたちにこそ、新鮮で滋養に富む「有機」の食べものを食べさせたい。栄養・食育・保育にとって、有機農業が必要であり有効であることを伝え、保育園・幼稚園・学校に有機食材を使った「有機提携給食」の導入を図り、「提携」活動の新たな段階における広がりをつくりだしていく。
 農薬がヒト・胎児の脳や乳幼児の身体に影響を及ぼし発達障害を引き起こすという、農薬と発達障害の因果関係が明らかになってきた。乳幼児、若者に農薬の残留していない食べものを供給し、農薬のない環境をつくることが急務である。栄養・保育・農業関連の教育機関においても、有機農業の必要性・有効性を学んでもらうことを訴えていく。
 そしてまた、格差社会が広がっている今、有機食品は高いというイメージを払拭し、貧困・低所得者層にも手の届く方法を探り、そうした取組みに着手していく。

7 有機農家の複合的な農の技術の普及
 本会の目的「環境破壊を伴わずに地力を維持培養しつつ、健康的で質の良い食物を生産する農業を探求し、 その確立・普及を図る」を再確認し、有機農業技術の普及拡大に努める。有機農家の複合的な農の技術を伝える講習会・研究会を開催すると共に、地域での「有機農業技術ネットワーク」づくりを行う。
 経験豊かな本会の有機農業アドバイザー等の有機農場を実地で体験・体感しながら有機農業が学べる「有機農学校」を各地で実施し、農の技術や暮らし方などを伝え広める。有機農業アドバイザーの増員、その他の有機農業関連アドバイザーの新設、研修及び認定についても検討していく。

8 関連団体・活動等とのいっそうの連繋
(1)各地の有機農業研究会等との連携強化
 各地の有機農業研究会等とのつながりを強め、共通課題を共有し、日有研の活動に活かしていく。環境団体、消費者団体等とも連携して食の安全、環境、社会的公正などの日有研活動を強化し、広義の有機農業運動への参加者を増やしていく。
(2)有機農業関係団体等との連携強化
 有機農業推進法(2006)から11年余、第3期の有機農業推進基本方針へ向けた検討が始まる。有機農業本来の理念・思想を主張しつつ、有機農業関係団体や、日本有機農業学会、有機農業推進協会などとも連携・協力し、提言を行っていく。環境支払いその他の課題についても、連携して有機農業を強めていく。
(3)世界の有機農業、国際的な提携ネットワーク等との連携
 国際有機農業運動連盟「IFOAM-Organics International」、同アジア、及びURGENCI: まちとむらの新しい連帯=国際提携CSAネットワークとの連携をはじめ、その他、世界各地の有機農業運動や関係者と交流し、連携していく。
(4)「一楽思想を語る会」への参画
 「一楽照雄を語る会」(山形県高畠町)の運営委員会(2016年発足)の委員として日本有機農業研究会が参画し、日本有機農業研究会創立者一楽照雄を顕彰し、その思想を継承普及させる同会に協力していく。

                                  2018年3月10日

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