JAPAN ORGANIC AGRICULTURE ASSOCIATION

日本有機農業研究会

第44回 日本有機農業研究会全国大会・総会を開催

第44回日本有機農業研究会全国大会報告とお礼
―参加者の親睦を深めた群馬大会

大会実行委員長 大塚一吉

おだやかに晴れた3月5〜6日、第44回日本有機農業研究会全国大会「全国有機農業・土と文化の集い 2016 in 群馬」に全国より御参加いただきありがとうございました。会場のはまゆう山荘は公共交通もない山間部にありますが、約150名(宿泊128名)の参加があり、盛会のうちに終了いたしました。
 実行委員長開会挨拶に続き、佐藤喜作日本有機農業研究会理事長の主催者挨拶、来賓として農林水産省生産局農業環境対策課課長補佐町口和彦氏から挨拶、後援団体からの来賓として群馬県農政部長宮崎一隆氏、及び高崎市からは市長代理として農政部長野口浩康氏がメッセージを読み上げ、大会が始まりました。
 大会は、まずベテラン有機農業生産者2名―群馬の宮田常雄さん、愛媛の泉精一さんの基調講演を聞き、その後少人数に分かれて行った「くるま座分散会」(12グループ)では参加者全員が発言し盛り上がりました。続くライブコンサートではイ・ジョンミさんの心にしみる命の歌を聴き、有機野菜をふんだんに使った懇親会、夜の語らい会と、時間が足らないほど語り合えた大会でした。2日目は、いつもの種苗交換会のほか、大小の農具を持ち込んで「アイデア農具の展示会」が開かれ、多くの関心を呼びました。参加者全員が語ったくるま座分散会とライブコンサートは、日有研の全国大会では新しい取り組みだったと思います。
 有機の「機」とは「天地、機あり。」の「機」。天地つまり宇宙には法則がある。日本有機農業研究会は、この宇宙万物の法則のもと、あるべき姿の農と食、人と自然を追求し、人と人との有機的関係を深めることを目指す会です。この原点に立ち戻り、生産者・消費者の「提携」をどう推し進めていくか、生産者の経営を具体的にどう支援していくか等、新たな提案も出されました。これらの提案等が今後の会の活動に生かされることを期待しています。  大会では、私たちの思いを表現した「大会アピール」を読み上げ、採択しました。


第44回日本有機農業研究会全国大会 アピール

どうつなぐ? 食と農、地域の暮らし
―じっくり語ろう 今とこれからー

2011年3月11日の東日本大震災と福島原発事故により私たちは、農作物の放射能汚染のみならず、大地・国土の環境汚染や人と人との絆の分断、そして地域社会の崩壊を経験しました。しかし、この社会はこれを教訓にできないでいるように見えます。大量生産と大量消費や大量廃棄が、経済優先・効率優先の社会を作ってきました。TPPにおける輸入農産物の関税撤廃などもますますこの傾向を推し進めるでしょう。農業を取り巻く環境は年々厳しさを増していますし、格差・貧困など社会問題も山積です。
私たち生産者と消費者は、食や農や暮らしを大切にした、経済優先・効率優先でないより良い社会のあり方に視線を向けなければなりません。いまこそ、農の本来のあり方を再認識する時です。農家は土の上に種を播き、大切に育て、収穫します。できた農産物は農家の暮らしの表現です。自然に従った暮らし方、手作りの暮らし方、そして喜びや感謝など、農作物だけでない暮らしの文化、自給の思想を消費者と分かち合うことができる提携がより良い社会を作っていくことになると思います。有機農業には生命の、生活の根本から地域や社会を変える力があるのです。私たちは、持続可能な農業、生産者と消費者を結ぶ自給的暮らしを実践していくことで、本当に豊かであたたかみのある社会、平和な社会を作っていくことができます。より良い社会も平和も押し付けられるものではなく、私たちが創造していくものです。
これからの世代に有機農業を引き継ぐために、都市生活者をはじめとする消費者と生産者が共に協力して自給の輪を広げていきましょう。食の安全・安心のみならず、地域社会・環境・平和問題など、これからの社会のありかたを担うのが有機農業なのだとの自負をもち、この活動を次世代につなげていきましょう。

2016年3月5日



日本有機農業研究会 2016年度・活動の方向性

1 平和と非暴力を愛する農業・社会をめざそう
有機農業は、すべてのいのちと共に生き、いのちを育み、いのち響き合う豊かな自然をつくる。有機農業はまた、人や社会に対してもやさしく有機的なつがなりを積極的に広げ、人々の心が通い合う非暴力で平和な社会を築く営みである。今日、近隣諸国との領土問題や軍備増強・集団的自衛権や特定秘密保護法制定、そして安全保障法制定などで揺れるなか、今こそ、いのち響き合い、「食と農」「土と自然」、「平和・非暴力」を大切にする社会へ向け、「有機農業」の真価を発揮する時である。

2 TPP に反対、食の安全・健康・環境・社会的公正の後退・破壊を許さない 
 大企業優先、貿易優先のグローバリズムは、農業、農村崩壊の危機を招き、日本社会の基盤そのものをも突き崩そうとしている。加えてTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)が、食・環境・健康や暮らし全般に関わる保険など社会のあらゆる部門に国内法を超越して統合の触手を伸ばそうとしている。そのようなTPPの推進に断固反対する。

3 原発再稼働に反対する 
「3・11」の原発事故に際して私たちは、「原発は、いのちの原理に反する」「すべての原子炉廃炉に!」と、総会で特別アピールを決議し内外に発した。事故から5年。原発再稼の動きが大きくなっているが、これに強く抗議し、私たちは再度、「原発といのち・くらしは共存できない」、「原発のない社会」をつくることを訴える。
 森・里・海はいのちの基盤であり、これ以上の汚染は許されない。各地の再稼働反対の行動や原発差し止め・廃炉訴訟の裁判等に連帯していく。
 福島支援について引き続き福島東北有機農業支援委員会の活動を行うと共に、エネルギーについては小規模分散型・再生可能エネルギーの採用などを採り入れていくことも提唱する。

4 結成趣意書の原点、分かち合い・助け合いの協同に精神に立ち、有機農家と都市生活者等との「提携」をいっそう拡大し広める
 今日、グローバル化・大企業支配と産地間競争は有機の世界にも及んでいる。「市場原理」に飲み込まれないための対抗軸として、今こそ地域に根差した自立する家族農家と都市生活者(消費者)・小規模実需者等との「提携」を明瞭に打ち出し、広げていかねばならない。分かち合い・助け合いの協同の精神による食と農の「提携」を基軸とする活動が、地域に確かなつながり(コミュニティ)を確立していくことになるだろう。
 各地で「提携フォーラム」を開催し、消費者参加型の提携推奨プログラムを進め、人と人の友好的関係を本質とする「提携」の社会的存在意義を広く知らせていく。同時に、例えば保育園・学校給食などをはじめとする新たな段階(ステージ)における「提携」活動の広がりをつくりだしていく。

5 有機農家の複合的な農の技術の普及
 経験豊かな本会の有機農業アドバイザー等の有機農場を実地で体験・体感しながら有機農業が学べる「有機農学校」を各地で実施し、農の技術や暮らし方などを伝え広める。
 有機農業アドバイザーの増員、その他の有機農業関連アドバイザーの新設、研修及び認定についても検討していく。

6 在来品種・固定種、有機農業に向く種苗の普及・継承のあり方の検討と実践
 地域に世代を超えて伝わる在来品種は、多様で豊かな食文化を創り出してきた。だいじに守り継承されてきた種子を次世代にいかに引き継いでいくか。検討を重ねつつ、継承していく。

7 関連団体・活動等とのいっそうの連繋
(1)各地の有機農業研究会等との連携強化
 各地の有機農業研究会とのつながりを強め、共通課題を共有し、日有研の活動に活かしていく。環境団体、消費者団体等とも連携して日有研活動を強化し、有機農業運動への参加者を増やしていく。
(2)有機農業関係団体・環境団体等とのよりいっそうの連携
 全国有機農業推進協議会、有機農業参入促進協議会、日本有機農業学会、有機農業推進協会などの有機農業関係団体や、有機農業の明日へ向けた青年たちの活動と連携・協力し、有機農業運動をいっそう強めていく。
 昨年は、有機農業関係5団体が共同して、2006年有機農業推進法制定から10年を記念し、12月8日を「有機農業の日」に制定する運動を立ち上げた。同法制定10周年を迎える今年は、「有機農業の日」「オーガニック・キャンペーン」に共同して取り組んでいく。
(3)世界の有機農業、国際的な提携ネットワーク等との連携
 国際的な有機農業運動団体「IFOAM-Organics International」、同アジア、及びURGENCI: まちとむらの新しい連帯=国際提携CSAネットワークとの連携をはじめ、その他、世界各地の有機農業運動や関係者と交流し、連携していく。
 昨年の国連「国際土壌年」に続き、今年は「国際マメ年」(IY Pulses)。乾燥豆類のもつ高い栄養価による人の健康への貢献をはじめ、伝統食文化、土壌肥沃度・土壌の被覆、家畜の健康、気候変動への対応などに有効であることを再認識し、活用していく。
(4)「一楽思想を語る会」への参画
 「一楽照雄を語る会」(山形県高畠町)の運営委員会委員として日本有機農業研究会が参画し、日本有機農業研究会創立者一楽照雄を顕彰しその思想を継承普及させる同会に協力していく。

(第44回日本有機農業研究会大会総会2016・3・5-6 群馬県高崎市倉渕町「はまゆう山荘」にて)

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