JAPAN ORGANIC AGRICULTURE ASSOCIATION

日本有機農業研究会

第41回 日本有機農業研究会全国大会・総会を開催

大会総会報告

日本有機農業研究会(理事 久保田裕子)

 3月2〜3日、静岡県富士市の富士常葉大学を会場にして、第41回日本有機農業研究会全国大会総会「全国有機農業者と消費者の集い in 静岡」が、のべ450人の参加により盛大に開かれました。なお、この場をかりまして、ご参加・ご後援・協賛など、さまさまなご協力いただいたみなさまに感謝申し上げます。
 2日午前に開催した第41回日本有機農業研究会総会では、東日本大震災・原発事故から2年、また、経済社会への大津波ともいえるTPPを前に、次のような活動方針を「総会メッセージ」として採択しました。  


第41回日本有機農業研究会総会メッセージ(2013・3・2)

「いのち」「食と農」「土と自然」「平和」を大切にする社会へ
   ―森・里・海の連携による「流域自給」と「提携」を協同の精神で

 「3・11」の原発苛酷事故に際して私たちは、「原発は、いのちの原理に反する」「すべての原子炉を廃炉に!」と、総会で特別アピールを決議し、内外に発した。事故から2年、一部で原発再稼働の動きがあるが、これに強く抗議し、私たちは再度、「原発といのち・くらしは共存できない」、「原発のない社会」をつくることを訴える。
 有機農業は、生命あふれる農と食の営みであり、それは大きな自然の循環の中で、自然の恵みにより生かし生かされる生きものと人々の有機的なつながりを取り戻し、また新たにつくり出すものである。森・里・海をつなぐ腐植のはたらきに着目し、多数の「里」に住む人々がその拠って立つ大地・土壌を腐植に富んだ健康なものにすると同時に、森・里・海の連携・提携による「流域自給」を強め広げていくことを提案する。エネルギーについては小規模分散型・再生可能エネルギーの採用、抗酸化力に富む有機農産物を地域の多様な食事の場に採り入れていくことも提唱する。
 創立以来すすめてきた「提携」(有機農業者と消費者の提携、1978年に「提携10原則(提携10か条)」)は、その本質を「人と人の友好的・有機的なつながり」にあるとしている。創立者一楽照雄は、「自立・互助」「子どもに自然を、老人に仕事を」の言葉を残し、そして有機農業は「世直し運動だ」と喝破した。
 昨年、発刊から50年を迎えたレイチェル・カーソン『沈黙の春』も、その警告がいまだに解消されていない社会に私たちが住んでいることを訴えかけている。原発事故による放射能汚染問題と共に、化学合成農薬・化学肥料やそれにより損なわれる生物多様性、化学合成等の食品添加物を多用する加工食品多食の食事、遺伝子組み換え作物・遺伝子組み換え生物、放射線食品照射問題など、多くの課題にも目を向けていかなければならない。
 本会は、貿易自由化の動きに対しては、従来から「地域自給」「地産地消」と「提携」を基軸とした実践的な活動を展開してきた。さらに広い視野から、森・里・海の自然と人々をつなぐ「流域自給提携ネットワーク」も提唱している。食の安全・安心、農林漁業を基盤とした地域社会に打撃となるTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)推進に断固反対する。
 有機農業は平和を志向する農業であり、いのちを育む営み、すべてのいのちと共に生き、自然に対しても人に対してもやさしい有機的なつがなりを積極的に広げ、非暴力で平和な社会を築く営みである。今こそ、「いのち」「食と農」「土と自然」、「平和」を大切にする社会へ向け、「有機農業」の真価を発揮する時である。

 3月2日午後には、現地見学会。2つのコースに分かれ、有機農場のようすやレストランとの連携などを実地に見学。また、富士常葉大学では、『食の未来』のデボラ・ガルシア監督の最新ドキュメンタリー『土の讃歌』を見ました。
 3月2日夕刻からは、富士市、富士宮市、静岡市など地元のおいしい食材による地産地消交流会で舌鼓。
 3月3日は、朝から種苗交換会、記念講演は、『長生きしたけりゃ肉は食べるな』で話題の人、若杉友子さんのパワフルなお話。5つの分科会で白熱する議論など、充実した2日間でした。

 第41回日本有機農業研究会大会
全国有機農業者と消費者の集い 2013 in 静岡
於 富士常葉大学(富士市)



第41回日本有機農業研究会全国大会 アピール

「いのち」「食」「土」を大切にする
〜ステキなオーガニックライフを求めて〜

 雄大な富士山から駿河湾へと続く豊かな自然の中、「全国有機農業者と消費者の集い2013 in 静岡」を静岡県富士市で開催しました。
 経済優先社会の矛盾は、これまでも自然環境や農林漁業に悪影響を与えてきましたが、特に2011年3月11日の東日本大震災・福島第一原子力発電所の苛酷事故による放射能汚染を経験し、私たちは今、あらためて暮らしのあり方を見直す時にきています。
 原発事故による放射能汚染が、自然と共生する農林漁業に大きな打撃を与えたにもかかわらず廃炉までの道筋は未だに不明瞭です。また、加工食品の消費が増え、食の生産から消費までの過程がますます複雑で見えにくくなっていることで、消費者は安全安心を求めつつも価格の安いものを優先し、食料の輸入依存度は高いままです。さらに、国際競争力を持つ農業の推進は、経済合理主義や効率化が優先され、いのちをつなぐ本来の農業の衰退に歯止めをかけられていません。高度経済成長は、量的豊かさの一方で環境破壊や健康障害をもたらしています。人と人のつながりが希薄になり、次世代への伝統の継承も困難になってきています。
 グローバル化した現代社会においては、食料問題もエネルギー問題と切り離すことはできず、生産者だけでなく、消費者にもライフスタイルの見直しを迫られています。
 
 有機農業は、何千年・何百年も自然と共にあった農業の伝統を踏まえた自給と循環の農業で、豊かな生物が息づく「土」を大切に、生きとし生きるものが有機的につながり・つながる農業の実践をめざすものです。
 無数の生命と植物の共生する豊かな土壌こそが、環境を改善し、人々の健康と健全な人間社会を育むということを、農業者だけでなく消費者も知らなければなりません。そして、グローバルな視点に立ちながら、自然を尊重し、いのちをささえ、地域をささえ、互いの個性を認め合い、人と人が繋がるローカルな生き方は、本来 人が求めている無理のないステキな生き方です。
 私たちは、この豊かな緑あふれる自然を基盤として生きとし生けるすべての「いのち」を健やかに次世代につなげていくために、森・里・海の「いのち」の循環の中で人々が繋がり、多くの課題を一緒に乗り越えていくことを誓います。
 

2013年3月3日
全国有機農業者と消費者の集い 2013 in 静岡
参加者一同

> このページの先頭へ

 書籍紹介

 日本有機農業研究会では、設立以来、有機農業関係の基礎的な資料や書籍を発行してきました。一部を除き、一般書店ではお求めできないものです。
 ご注文は、郵便為替用紙、または、メール・FAXのいずれかの方法でお申込いただけます。

書籍のリストと購入方法はこちらへ

  _______________________

  _______________________

  _______________________