JAPAN ORGANIC AGRICULTURE ASSOCIATION

日本有機農業研究会

 JAS法改定案に反対する申入書を
  農水省などに送りました

 3月17日、日本有機農業研究会は、「JAS法改定案に反対し、有機認証制度の改善を求める申入書」を島村農林水産大臣、有機農業推進議員連盟、各政党宛てに送りました。

2005年3月17日

農林水産大臣 島村 宜伸殿
有機農業議員連盟御中
各党(自由民主党、公明党
民主党、日本共産党、社会民主党)御中

日本有機農業研究会

JAS法改定案に反対し、有機認証制度の改善を求める申入書

1 JAS法改定案の問題点
(1)今国会に提出されたJAS法改定案の中で有機農業に関係する部分は、認定機関の登録基準としてISOガイド65を引用していることです。しかし、それには、次の問題があります。

【問題点1】 登録基準が一気に厳しくなること。
 ISOガイド65が認定機関に対する要求する事項は、組織、運営、品質システム、認証の授与・撤回等の条件と手続、内部監査とマネジメントレビュー、文書化、認証機関の要員、認証を求める申請、評価、査察等、詳細かつ多岐にわたります。このような事項を満たす体制を整えることは、ある程度の要員をかかえた企業的組織体でなければ難しいといえます。
 現在、各地の有機農業団体が登録認定機関となっています。これは、わが国における経験の長い有機農業団体が地域に密着した形で有機JASの認定を行なっていくことが国内の有機農業の発展にきわめて重要であることから、主体的に取り組んできたものです。これらの有機農業団体の登録認定機関は、有機農家に良心的な安い認定料で有機JASの認定を行ない、料金面だけに止まらず、有機農家が認定を受けやすいように尽力してきました。
 しかし、今回のJAS法改正でISOガイド65が引用されることにより、登録基準が一気に厳しくなれば、詳細かつ多岐にわたる事項を満たす体制を整えることができる団体はほとんどなく、これらの良心的に認証業務を遂行してきた登録認定機関が消滅してしまいます。消費者から信頼される有機JASや有機農業の普及のために政府に求められていることは、本来は、こうした地域に根ざした登録認定機関を育成していくことです。今回のJAS法改定におけるISOガイド65の引用による登録基準の変更は、それに逆行し、有機農業団体の登録認定機関が果たしてきた有機JASの普及・定着努力を無視するものです。

【問題点2】 ISOガイド65の引用で、有機JASの信頼度は高まらない。むしろ、小規模な認証機関の存在により、問題のある認証の発生を抑止し、信頼度を増すことが必要である。
 ISOガイド65の要求する事項を満たす体制を整えるには、広域にわたる認証活動を行ない、多くの認証件数を処理し、多数の要員を抱えることが必要となります。規模を維持するために採算性をあげることも必要になります。他方、小規模の認証件数の少ない有機農業団体の登録認定機関の場合は、1件、1件の生産行程管理者等の状況を把握することが容易であり、違法行為の発生の抑止につながります。ISOガイド65をクリアしていることは、チェックの体制が形式的に整えられるというに過ぎず、きめ細かな把握を困難にし、有機JASの信頼度を高めるとはいえません。問題のある認定を多発させないためには、小規模の有機農業団体の登録認定機関が各地で活躍できるような政策をとることが重要です。

【問題点3】 コーデックス国際基準は、ISOガイド65に準拠することを義務付けていない。
 国際規格に準拠することが求められるが、現行のJAS法の認証機関登録基準は、コーデックス国際規格に合致していないわけではなく、また、コーデックス国際規格は、ISOガイド65に準拠することを義務付けているわけではありません。それにもかかわらず、今回のJAS法改定ではコーデックス国際規格よりもはるかに厳しい条件を課そうとしています。有機農産物のJAS規格では、じつはコーデックス国際規格よりも下回っています(工場的大規模畜産のふん尿の使用や遺伝子組換え作物の残さの使用を認めるなど)。認定機関ではさらにISOガイド65を課すのは、大企業や企業的組織体の利益の代弁としか言いようのない改悪です。

【問題点4】 外国登録認定機関の要件が緩和され、輸入がますます増える。
 これまでは、日本の有機JAS制度と同等の法制度を有する国の認定機関でなければ、登録外国認定機関となることができませんでした。しかし、今回のJAS法改定案では、日本の有機JAS制度と同等の法制度を有しない国の認定機関であっても、ISOガイド65を満たしさえすれば、登録外国認定機関となることができるようになります。
 日本の有機JAS制度と同等の法制度を有しない国では、その認定機関を法的強制力をもって監視し、監督する当局すら存在せず、認定機関が監視・監督の目にさらされないため、安易な認証が発生する危険性が高くなります。しかも、今回の緩和で、外国の登録認定機関が増え、JASマークを貼付した輸入有機農産物がますます増えることが予想されます。農林水産省が公表したデータによれば、2003年度に有機JASマークが貼付された有機農産物は、34万4427トンですが、そのうち、外国産有機農産物は、29万7923トンと84.5%にも達し、国産有機農産物は、4万6504トンと13.5%に過ぎないありさまです。
 現在でも、外国で認証された有機農産物については、真正のものかどうか監視し、チェックする実効性が確保できず、国内認証の有機農産物に比べ、はるかに甘いものになっています。外国での有機JAS認証が適正なものとなっていることを厳格にチェックする規制を早急に制定・整備することこそが必要です。

【問題点5】 外国認証には甘く、国内認証は厳しく監視するという差別的取扱いとなる。
 現行の有機認証制度で改善すべきことは、上記(2)のように、外国での有機JAS認証が適正に行われていることを確保するための実効ある監視であり、その規制を強化することです。それにもかかわらず、農林水産省は、外国認証については緩和するが、他方、国内の有機JAS認証に対しては監視指導を強化しようとしています。これは、国内が著しく不利になる差別的取扱いであり、許されません。

(2)上記のとおり、認定機関の登録基準にISOガイド65を引用することは、地域に密着した形で有機JAS認証を行なっている有機農業団体が登録認定機関であり続けることを困難にするものです。有機農家に良心的な安い認定料で有機JAS認証を行ない、料金面だけに止まらず、有機農家が認定を受けやすいように尽力してきた地道な努力を無にしてしまいます。結局、企業的組織体の登録認定機関だけが残り、有機農家は、有機農業を知らないようなそれら登録認定機関による有機JAS認証を受けるほかなくなり、しかも、これまでよりずっと高い認定料をそれら登録認定機関に支払うことになってしまいます。このような有機JAS認証で、日本の有機農業は発展できるはずがありません。
 すでに2003年度に有機JASマークが付された有機農産物のうち、国産有機農産物は13.5%に過ぎないありさまですが、外国登録認定機関の要件を緩和すれば、十分な監視・チェックのない中で外国での有機JAS認証が増加し、有機JASマークが貼付された外国産有機農産物がますます輸入されることになります。現在でも、外国で認証された有機農産物については、真正のものかどうか監視し、チェックする実効性が確保できず、国内認証の有機農産物に比べ、はるかに甘いものになっています。このため、外国での有機JAS認証が適正なものとなっていることを厳格にチェックする規制を早急に制定・整備することこそ求められているのに、今回のJAS法改定はそれに逆行することをしているのです。

2 本会の意見
(1)本会は、このような日本の有機農業を破壊するJAS法改定案に反対します。仮に、認定機関にISOガイド65を引用するとしても、有機農産物JAS規格及びその関係規格はその適用除外とし、従来の登録基準のままとすることを求めます。

(2)その上で、本会は、認証制度を次のとおり是正することを要求します。

@エコファーマーの認定においては認定料が徴収されるわけではないように、同様農家の有機農産物JAS規格やその関係規格の認定については、認定料を免除するか、又は米国のように認定料の公的助成を行う。
A高齢者については、有機認証が容易に受けられるよう、書類作成等の事務的手間を著しく軽減する措置をとる。
B生産者と消費者との信頼関係が構築されているため、認証によらなくても有機農産物の適正な取引が確保される生産者と消費者の「提携」のような取引形態については、認証を免除する。
C外国での有機認証が適正なものであることを確保する厳格なチェック規制を早急に制定・整備する。
(3)また、有機農産物の認証はJAS法とは別の特別法で行うよう、有機農業推進法(仮称)を制定することを求めます。
 JAS法は、一般的な食品規制法であり、表示規制の観点からだけ見ても、有機農業の特性を反映することができない法制度ですので、有機農業全体をJAS法の対象から外すことが必要です。
 有機農産物の基準・認証制度は、有機農業推進法(仮称)で規定し、有機農家や、有機農業を熟知した学識者がその制度運営に責任をもって携われるようにするとともに、同法により、有機農業を地域の中に位置付けて推進し、有機農家が安心して有機農業を営むことができる諸施策を早急に打ち出すことを求めます。

以上

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