JAPAN ORGANIC AGRICULTURE ASSOCIATION

日本有機農業研究会

 遺伝子組換え小麦は食べたくない!
 報告:GM小麦問題
 カナダ・アメリカ現地で、団体署名提出行動

日本有機農業研究会 『土と健康』04年7月号 大地を守る会 前川 隆文

小麦にも遺伝子組換え!?

 現在、カナダとアメリカの両政府に対して、モンサント社が除草剤(ラウンドアップ)耐性遺伝子組み換え(GM)小麦を申請している。大豆、菜種、トウモロコシ、綿といったこれまでのGM作物は、そのほとんどが飼料用、もしくは食用でないものであった。一部食用として使われているものも油の原料であり、日本の規制では表示対象外だった。GM小麦に関しては、一般の日本人にとって最初のGM食品となる。
 食用としての危険性だけでなく、GM作物は交雑による環境汚染の問題が非常に大きい。シュマイザー事件でも明確なように、モンサント社は逆にこの交雑を、遺伝子特許と称して、種子支配戦略の武器として使うという信じられないような暴挙に出ている。
 このGM小麦に関して、「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」が中心となって、反対を表明する団体署名を集めた。四〇〇を越す団体、構成人員では一〇〇万人を越す署名が集まり、これを持って、カナダ・アメリカに対して、「認可しないこと」と「仮に認可されても作付けしないこと」という要請を持って、天笠啓祐さんを団長に総勢六名が交渉におもむいた。

カナダ農業・農産食糧省と交渉、産地では記者会見

 三月二一日、カナダで最大の小麦生産地であるマニトヴァ州の中心地、ウィニペグで記者会見を行なった。一〇社ほどの新聞・雑誌各紙とテレビ局五社ほどが参加し、翌日には二〇社を越す新聞などに我々のことが掲載された。

カナダでの遺伝子組み換え小麦の認可についての現状とカナダ政府の立場

 次に三月二三日、オタワでカナダ農業・農産食糧省との交渉に望んだ。交渉相手は局長クラスの四名と研究者一名であった。カナダでは現在、ヘルスカナダで食品としての審査が、カナダ食品検査局で飼料と環境に対する問題の審査が進行している。さまざまな問題点で承認はかなり遅れそうであり、早くとも二〇〇六年になるようであった。今回の交渉の中で、「承認のプロセスについて我々は決定権がない。しかしこれまでにも承認はされたが商業栽培されなかったGM作物はあった」ということを彼らは発言した。彼らとしても社会的合意がない現状では、積極的にGM小麦の栽培をカナダで進めたいわけではないようだ。また、現在政府として生産者や流通の協会関係者を集めて話し合いを始めたようだ。それらの話し合いの結果いかんによっては、GM小麦に対しては拒否を示すということなどもあり得る。そのような判断は科学的に正しいとか正しくないという問題を越えて、消費者が受け入れるかどうかを重要視して議論されているということだ。

 GM小麦の申請者であるモンサント社は最初、アメリカ、カナダ、日本の三カ国の承認を得たのち、商業栽培を始める予定だと言っていた。しかし現在は、アメリカでの承認、商業栽培を先行させることに予定変更した。モンサント社も経営状態などの問題からか、かなりあせっているようだ。

モンサント社、開発の一時凍結を決定

 今回の訪問は、カナダ・アメリカに対して、絶好のタイミングを捉えていた。現地でもカナダ小麦局などは明確に反対を表明していたし、アメリカの生産者団体、消費者団体でも反対運動が起こっていた。また、日本側の小麦の輸入を取り仕切っている小麦協会も反対の意見書を提出していた。そこに日本の消費者が明確な拒否の意思表示したのである。
 この記事を書いている最中に、朗報が入ってきた。五月一〇日、モンサント社が遺伝子GM小麦の開発一時凍結を発表したのだ。

 しかしながらモンサント社の表明文には、「ほかのGM小麦が市場に出るまでのあいだは開発を凍結する」という但し書きがついている。モンサント社は現在世界中で作付けされているGM作物のほとんどのシェアーを持っている。食用である小麦について、この逆風の中、あえて開発を継続して自社単独で世間を敵に回すのは得策でないという判断をしたのであろう。すなわちもう少し時間が経過すると、大企業が束になって申請してくる可能性がある。今後も気を緩めず、反対運動をやりつづけなければいけない。

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