JAPAN ORGANIC AGRICULTURE ASSOCIATION

日本有機農業研究会

 第32回日本有機農業研究会全国大会報告
 第2分科会 遺伝子組み換え食品

日本有機農業研究会 『土と健康』04年6月号

座長・安田 節子  (食政策センタービジョン21代表)
報告・山田 勝巳  (千葉県・山田自然農園)
報告・各地からの報告

 はじめに山田勝巳さんがスライドを使って問題提起を行った。昨年『土と健康』にも紹介された『食生活と身体の変化』という本に掲載された写真を示しながら、その土地で採れる食材で自給自足の食事をしていた民は地域が異なっていても、表情が似ており、ともに顎が発達し、ふっくらとおおらかな顔立ちで、白い歯を見せての笑顔が共通している。それが、加工した食材を使った文明食に変化した結果、骨格や体が退化してしまった人たちをいく例も紹介した。食事の変化が顔の骨格を変え、顎が小さくなって、虫歯や乱杭歯を生み、口に問題がある人は体全体にも悪い影響が出る。食の変化が短期間に身体に悪い影響をもたらした。そして結核が増加。結核はいまでは薬で治せるとはいうものの、結核が増えたのは栄養が満たされず、免疫力が低下した結果と見なければならない。山田さんは伝統的な食べものを取り戻さなければだめになると訴えた。さらに、近代農法によって作物が失った本来の栄養を取り戻せるようにすることが大切だとし、遺伝子組み換え食品の方向は明らかに間違いであると締め括った。

 これを受けて座長(安田)から講演内容に追加として第二世代の組み換え作物の問題に触れた。花粉症緩和米や糖尿病対応米、特定栄養成分を高めた作物など消費者メリットをうたうものが開発され、マスコミで期待をあおる記事が出ているが、厚生労働省が医薬品と同様に臨床試験など厳しい安全性審査が必要との見解があるものであり、また普通作物との交雑は深刻な問題を引き起こすこと、米国でも問題になっていると述べた。

 次に組み換え栽培の問題に取り組む各地からの報告がなされた。

 島根県柿木村の福原圧史さんから、島根県での組み換えメロンの開発について報告があった。二〇〇五年から土壌消毒剤(臭化メチル)の使用ができなくなるので、遺伝子組み換えでウイルスの遺伝子をメロンに入れて病気に強いメロンを作出する研究開発が行われ、大学も協力せざるをえない状況にある。その他ボタンやランなどの研究もされており、利益第一主義で開発が進められている。遺伝子組み換え開発は止めるよう、現在、県と交渉を行っているとのこと。

 山形の藤島町の加藤鉱一さんからは、バイオ作物懇話会の組み換え大豆を一軒の農家が栽培したことから、遺伝子組み換え反対の意識が高まり、二〇〇二年遺伝子組み換え作物生産を規制する自治体条例としては日本初の「人と環境にやさしい街づくり条例」が制定された。

 座長から北海道が栽培規制の条例を制定する見込みだが、これに対して農水省はじめ、推進側の研究者グループなどから大きな圧力がかかっていると発言。

 香川県の山田道子さんからは、善通寺にある農水省独立行政法人の研究所がGMイネの野外栽培実験がすでに二年前から行われ、今年は三年目になることが明らかになったこと。大会翌週に善通寺市に対し栽培反対の陳情を行う予定である。農水省の依頼があれば農家は一般農地の実験栽培を引き受ける意思があるという。

 どうすればGMを阻止できるかという質問が会場から出た。これに対し、尾崎零さんからは食べものに対して本質を忘れてはいけないこと、また最近の問題は目に見えにくい現状があるから分かりやすい資料を作り、周りの人に伝えていこうとの意見。

 古沢広祐さんからは、米国滞在の経験から米国は食の安全性に対し意識が低く麻痺している状態で、GM反対の力は大きくないという。その他、農業者を議員として送り出すことや、政治的取り組みがだいじではないかとし、議員アンケートなどの提案があった。

 長野の窪川典子さんから地元でおから処理のために焼却炉を作る計画があり、農業利用をしたいと思うがカナダから輸入のGM大豆の可能性があり、ゴミ問題とGM問題の板挟みで悩んでいるという。カナダのGM大豆の生産割合は今のところ低いということや今治の自然食レストラン経営者の方から循環型農業の試みにしてはいけないかと意見があった。

 時間いっぱい、活発な発言が出された。

(まとめ 安田節子)

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