JAPAN ORGANIC AGRICULTURE ASSOCIATION

日本有機農業研究会

 第32回日本有機農業研究会全国大会報告
 基調講演2 遺伝子組み換え食品の現状と問題

日本有機農業研究会 『土と健康』04年6月号 日本有機農業研究会理事 安田 節子

自然界にはない生物づくり

 今年始め、国連は、全生物種の二五%が二〇五〇年までに絶滅するという研究予測を発表しました。四分の一の生物種が絶滅してしまうというほどに、人間は地球環境を悪化させてしまっています。生物多様性が危機に直面しているのに、追いうちをかけるように遺伝子組み換え生物の商品化が進められ、遺伝子汚染によって生物多様性を破壊していく事態が進んでいます。

 地球上には、実にたくさんの生物がいますが、微生物から動物、植物に至るまで、生命の根元である遺伝子という構造はいっしょです。細胞の中に二重螺旋のDNAというのがあります。DNA上の特定の遺伝子配列が生命活動に必要なタンパク質や酵素を作ったり、制御したりする遺伝子暗号となっています。遺伝子暗号を読み解き、その遺伝子を酵素で切り取り、別の生物の遺伝子配列の中にはめ込んで、自然界では存在し得ない生物を作り出すようになりました。たとえば、氷の海にいて血液の凍らない酵素を持つヒラメの耐寒性の遺伝子を入れて霜にあっても枯れないイチゴを開発したり、米国では、蜘蛛から糸を作る遺伝子を取り出して山羊に入れ、山羊のお乳の中に蜘蛛の糸成分を作り出し、これで防弾チョッキを作ろうなどという計画もあります。

 この技術が食品に応用化されたのが遺伝子組み換え食品です。これは食料飢餓に対する切り札と宣伝されています。地球環境悪化と人口爆発で今後食糧難がくると言われていますが、多収量とか、塩害に強い、あるいは乾燥に強いなどの性質を持たせた組み換え作物が期待できるというわけです。

 しかし、実際応用化されたものは、もっぱら除草剤耐性で、商業栽培されている遺伝子組み換えの七五%が除草剤耐性です。開発企業がいずれも農薬企業であり、自社除草剤と組み換え種子のセット売りという戦略によるからです。もうひとつは、殺虫毒素を自ら作り出す作物です。この二種と、少しですが両方の性質を合わせ持つものが応用化されています。

広がる栽培面積

 モンサントの戦略(手口)をざっとまとめてみると、次のようである。

 遺伝子組み換え作物の栽培面積は広がっています。二〇〇三年のデータによれば、アメリカ・アルゼンチン・カナダ・ブラジル・中国・南アフリカというこれらの国だけで栽培面積の九九%を占めます。そのうち最大のシェア六三%がアメリカ、二一%がアルゼンチン、カナダが六%。アルゼンチンは米国に次ぐ大豆輸出国で、いまや、その九〇%以上が除草剤耐性大豆に代わっています。それはアルゼンチンの種苗会社が米国モンサント社の傘下に入った結果、種苗会社は組み換え大豆をもっぱら販売するようになりました。生産者はそれを生産するしかなくなっています。

 ブラジルは遺伝子組み換え大豆を禁止してきましたが、隣国アルゼンチンから組み換え大豆が密輸され、農民の作付けが広がってしまった結果、ブラジル政府は二〇〇三年に暫定的に組み換え大豆を三〇〇万ヘクタール商業栽培を認めざるを得なくなりました。中国はモンサント社が開発した組み換えの殺虫性綿花の生産をしています。中国は食品の組み換え生産は国際競争力のリスクになり得るとして慎重ですが、衣類用コットンに関しては、今や六割近くが殺虫綿花に変わっています。

 作物別には、一番たくさん生産されているのが大豆です。その次がトウモロコシ、三番目が綿で、四番目がナタネ。この四作物がもっぱら商業栽培されています。

 日本は大豆の自給率は五%しかなく、九割近くが組み換え大豆になったアメリカからほとんどを輸入しています。自給率ゼロに近い餌用・加工用トウモロコシも、アメリカから大量に輸入され、組み換えトウモロコシの混入が避けられません。綿実も、ナタネも輸入依存で、日本は組み換え農産物の最大の輸入国となっています。

アレルギーへの懸念

 遺伝子組み換え作物の健康影響として第一に懸念されることはアレルギー性です。

 遺伝子組み換えによって作り出された除草剤分解酵素や殺虫毒素など新規のタンパク質がアレルギーを引き起こすことが懸念されています。また組み換え作物を作るとき、選抜のための目印遺伝子として導入される抗生物質耐性の遺伝子の影響も懸念されています。昨年イギリスの大学で初めて被験者に組み換え大豆を食べさせる実験がされました。たった一度の食事で被験者の腸内微生物に組み換え大豆の除草剤耐性遺伝子が取りこまれていたのです。抗生物質耐性遺伝子が腸内微生物に移行する可能性もこの事例から強く懸念されます。

 一九八八年から八九年に、昭和電工が遺伝子組み換えの微生物を使って、トリプトファンという健康補助食品を生産した結果、三八名が死亡し、一五〇〇人以上が障害を負うという食品公害事件がありました。その原因といわれる不純物の一種は組み換え大腸菌が作り出した可能性が疑われています。遺伝子を部品として捉え、組み換えによって加えた遺伝子の作用だけが新たに付け加わるだけという認識で安全評価がされてきましたが、今日それは間違いであると認識されるようになってきています。遺伝子は部品ではない、深遠な生命活動のネットワークシステムの中で遺伝子は環境変化へフレキシブルに対応していく。その変化を人間はすべて予測することも、管理することもできません。

殺虫性作物は安心か

 トウモロコシ畑によく生えるトウワタという植物を餌にするオオカバマダラという蝶の幼虫に殺虫トウモロコシの花粉のかかったトウワタを食べさせたところ、幼虫が四割も死ぬという実験結果が発表されました。他の生物への影響が懸念されヨーロッパもこの殺虫トウモロコシを輸入禁止にしました。しかし日本は大量に米国産トウモロコシを輸入しているのに、何の手も打たなかったのです。このときは表示もされていませんでしたので、私たちは、市販のコーンスナックやコーンスターチなど買って検査に出しました。

 その結果、検査したハウス食品、小池屋、ヤマザキなどのコーンスナック菓子やコーンスターチに殺虫トウモロコシが使用されていたこと、なかには未承認の品種も検出されたのです。これを公表した結果、今まで「安全確認をしたものだけが流通しているから表示はいらない」の一点張りで表示を拒んできた政府はようやく表示や規制に向かい、二〇〇一年四月から表示制度が導入され、安全性評価は義務化されました。九六年の輸入から、四〜五年かかって、ようやくここまできました。

 米国で栽培を認可した殺虫トウモロコシ「スターリンク」は、殺虫タンパクの分子構造が大きく、これをヒトが食べた場合、消化分解しにくく、アレルギーをおこす可能性があるとして家畜の餌用としてだけ認可されました。しかし食品に混じってしまい、不調を訴える人たちがでたということで、生産禁止となったものです。しかし、依然として、輸入の飼料用トウモロコシから検出が続いています。日本はもちろん認可していないのですが、家畜の餌への混入は避けられないとして政府は一%までは未承認の混入を認めるというありさまです。

人類が管理できるか

 環境生態系の影響は、今日非常に問題になってきています。組み換え作物を生産すると、花粉により近縁種へ遺伝子伝播がおきます。近縁から近縁に水平伝播して広がります。また一粒の種から何千もの種子が生まれ垂直方向にも増殖しながら伝播していきます。あるいは渡り鳥がこれを食べて遠いところに持っていってしまう。土にこぼれ落ちたものは土壌のなかで時を経て芽生えることもあります。後から有害とわかっても人間がすべて回収し、元の環境にもどすことはできない。増殖し、かつ管理不能だというところが組み換え生物の、最大の問題点だと思います。化学物質の場合、例えばDDTとかPCBとか後から有害だとわかり、禁止した。禁止すれば、いずれ減少していく。ところが組み換え生物は一度環境に放出されると、自己増殖していくのです。人間には管理できないという点では原子力と同じです。人間が管理できないもの、責任を持てないものを応用化してはいけないと、そういう原則を私たちは持たなければならないと思います。

 米国で、組み換えの殺虫トウモロコシを豚の餌として与えた結果、豚の受胎率が八割も下がってしまったという報道があります。このニュースに対し、あちこちの養豚家たちから同様の情報がたくさん寄せられたということです。研究者によれば、殺虫トウモロコシと豚の受胎率についての因果関係は現段階では認められないが、殺虫トウモロコシはなぜかカビ菌のフザリウム菌が増殖しやすく、その影響ではないかという指摘もあります。

予測を超える事態

 また、アメリカの養蜂家協会のニューズレターによればアメリカミツバチには腐蛆病(フソ病)という蜂の子がかかる伝染病があるため、養蜂家は抗生物質のテトラサイクリンを少しずつ蜂に与えて、病気の発生を抑えてきた。ところが近年、病気が多発するようになったというのです。原因がわからない、しかし、唯一疑われることは、この病気が広がっているのがアメリカとカナダとアルゼンチンということから、共通するのは遺伝子組み換え作物の大量生産国だというのです。組み換え作物には抗生物質耐性遺伝子が花粉細胞の中にも入っています。その花粉を集めるミツバチのおなかの中の腸内微生物にそれが取りこまれて、人間が与える抗生物質が効かなくなっているのではないかと指摘されていました。因果関係の証明はまだ先でしょうが、これまで予測していなかった影響がいろいろな形で現れつつあるのではないでしょうか。

 殺虫性作物の場合、根から殺虫毒素が土壌に排出されたことが報告されています。そして土壌微生物やミミズが死んでしまったのです。また、殺虫性作物に付いたアブラムシを捕食したテントウムシやクサカゲロウの幼虫が死んだということも報道されています。現在の環境影響評価は非常に限定的にしかなされていない。実際の環境は目に見えないものを含め多様な生物が共生しています。皆さん、ミツバチのおなかの中の微生物のことなんて考えたことおありですか? 私はそんなこと考えたこともなかった。組み換え作物の除草剤耐性遺伝子が蜂の腸内微生物へ取り込まれる転移が起こったという報道を読んだとき、ショックでした。人間の考えが及ばない領域が広く存在し、責任をとれない。つくづくしてはいけないと思うのです。

農業への報復

 農業への影響についてですが、同じ除草剤を撒き続けると耐性雑草がはびこるようになります。殺虫毒素を出す作物もいずれ耐性を持つスーパー害虫を生むことになります。鳥インフルエンザも私たちが抗生物質や薬剤を多用した結果、もともとは低毒性のウイルスが鶏の群れのなかを循環するうち、薬剤に触れることで変異を遂げて、高病原性のものになったといわれています。人間が一方的に都合の悪いものとして暴力的に殺滅する農業というのはいずれ自然界の報復を受けるのではないでしょうか。

 それから、アメリカでは、組み換え大豆を省力化と収量増大のふれこみで農家に売り込んでいるのですが、調査によると、実際は平均では収量が減った、除草剤の使用量は増えていたことがわかりました。こういう情報は政府もモンサント社も流さないです。

 日本で売っている野菜の種子は、アメリカ産が多くなっています。「ストップ遺伝子組み換え汚染種子ネット」の検査で、米国産のトウモロコシ種子一〇点のうち、四点に遺伝子組み換えの痕跡が見つかって、遺伝子汚染を受けていたことが判明しています。普通の種子であっても種苗企業の圃場で組み換え品種との交雑が引き起こされる可能性が高いのです。米国産はそういう意味でリスクがあり、国産種子がだいじであると思います。

生物特許による横暴

 今、最大の問題は、「生物特許」だと思います。遺伝子や細胞レベルでの発見や遺伝子操作に知的所有権があるとして生命体に特許を認めるようになっています。特許のある種子は自家採種は禁止されます。米国などで組み換え作物を生産する農家は自家採種禁止と毎年種を買うという契約を結ばされています。カナダの農家、パーシー・シュマイザーさんは四〇年にわたってナタネを自家採種して選抜して良い種子を残すということをやってこられた。ところが九八年に、モンサント社からシュマイザーさんの畑に組み換えナタネが生えているという特許侵害を言い立てられ、賠償金の支払いを要求されたのです。さらにそのときの収獲物は全部モンサントに帰属するというのです。「被害者は汚染を受けた私のほうだ」とシュマイザーさんは裁判で闘う選択をしました。アメリカの大企業相手に裁判で闘うとなると弁護士費用だけでも膨大なものになります。ですから農家は大体が泣く泣く示談金―日本円にして一千万円位―を払ったわけです。しかし、シュマイザーさんは農場も年金も担保に押さえられながら、闘っています。一審、二審は何故シュマイザーさんの畑にそれが生えているかということは問わないという判決で、負けました。一月に最高裁の聴聞が始まりました。カナダの最高裁で遺伝子組み換えのネズミについて「高等生物では、生物特許は認めない」という判例が出ているので、植物で認められる可能性があり、世界中が注目しています。もしもシュマイザーさんが負ければ、種子を不法に入手したということでなく、自分の畑が汚染を受けただけで、賠償金を取られるとという、逆さまの論理がまかり通ることになります。

 この問題はカナダやアメリカの農民だけの問題ではありません。組み換え作物生産が始まれば、どこの国でも起こりうる問題です。日本の生産者にも降りかかってくる可能性があるのです。すでにモンサントの息のかかったバイオ作物懇話会というところが、組み換え大豆の一般農地での試験栽培をあちこちで行っています。そして今後、遺伝子組み換えの米や小麦の輸入の可能性も視野に入ってきている。こぼれ種が落ちて日本で生えたり、誰それの畑に遺伝子汚染が起こった場合、モンサント社から特許侵害ということで、賠償金をとられるということが起こりかねないのです。

こわい種子の独占

 モンサント社をはじめ、シンジェンタ、バイエルなど多国籍農薬企業が、アグロバイオ事業に軸足を移し、種子事業に力を注いでいます。次々と世界中の種子会社を買収して自分たちの傘下に組み込んでいっています。韓国も業界二位のソウル種苗という会社が九七年にノバルティスに買収されました。アルゼンチンもほとんどの種会社がモンサントの傘下に下りました。インドで組み換え綿の生産が始まったのも、綿花種子のマヒコ社がモンサントの傘下に入ったからです。日本の「サカタの種」にも外国資本が入ってきています。種苗会社が次々と買収されて、種子というものが一握りの巨大企業に独占されつつあります。種子の支配は食料支配に繋がり、人類にとってこれは大きな脅威になるのではないでしょうか。

 日本政府を含めほとんどの先進国では、オランダを除いて、生物特許を認めています。こういう流れの中で農家の自家採種する権利というか、自己決定権というものが侵害されていくのではないかと思います。

特許戦争で農業は生き残れるか

 いま、農水省傘下の研究機関で遺伝子組み換えイネの開発が熱心に取り組まれています。消費者の受け入れは絶望的であり、またイネの遺伝子汚染は絶対避けるべきことなのに、なぜ地元の反対を押して野外栽培試験を強行するのでしょうか。日本はこれまで組み換え作物の商品化はできていません。それは特許の問題がからんでいるからです。遺伝子組み換えの基本技術に関する特許はすべて多国籍企業に押さえられているため、開発したものを商品化するには高い特許料を払わねばなりません。しかし、特許料を上乗せすれば価格が高くなり、農産物で商品化できるものはなくなってしまうのです。

 日本が遺伝子解析を早くから進めてきたのがイネです。そこでこちらは得意な遺伝子解析分野で特許を押さえ、基本技術の特許と特許交換をすれば、初めて商品化がかなうわけです。商品化できれば、組み換えイネを海外で生産することを考えているのではないでしょうか。WTO交渉がこのまま進めば、コメ輸入が当たり前になる日はすぐそこです。農水省はおそらく輸入は避けられないと認識し、特許料の入る組み換え種子の海外販売など先端技術農業で日本農業の生き残りを図る、そのためには企業の農業参入を認めていくという青写真を描いているのではないでしょうか。

お寒い自給率

 日本は二〇〇一年四月に組み換え大豆とトウモロコシ製品について表示制度を導入しましたが、表示は限定的なものに留まっています。しかも非組み換え表示には、米国側の、「非意図的混入は避けられない」という言い分を鵜呑みにして五%まで組み換えの混入を認めるというお粗末さです。〇・九%以上含んでいればすべて表示というEU基準と比べてあまりにも落差があります。本当に遺伝子組み換えを避けたければ国産一〇〇%のものを買うのが唯一の道だと思います。しかし組み換え大豆の生産がもし広がれば国産なら大丈夫と言えなくなってしまいます。

 なぜ、日本はこのようにふがいない対応しかできないのか。それは食料自給率の低さにあります。カロリー自給率四〇%、穀物自給率でいえば二八%という世界稀なる低い自給率のゆえです。組み換え大生産国であるアメリカから大豆の八割を輸入し、トウモロコシは七割を輸入している。ナタネは九割をカナダから輸入している。こういうふうな状況で、世界最大の遺伝子組み換え作物の消費国になっているのです。

 日本の穀物自給率の低さは特異です。人口一億以上いる国で穀物自給率が二七とか二八というのは、日本ぐらいです。他の先進工業国はどの国も農業には力を入れ、穀物自給率を必死に上げて高い自給率を達成しています。日本のように米国依存がここまでくれば、もはや独立国家とは言えなくなります。

 スイスは山ばかりで穀物自給率が七〇%くらいですが、輸入が止まれば国民を飢えさせてしまうので半年分の穀物を国家備蓄、企業備蓄の義務制度で補完しています。日本はといえば、倉庫料がかかるとか、経費負担が大変だとかの理由で、米と小麦の備蓄を約三カ月弱しかしていません。いざとなれば買い集めることができるといいますが、果たしてそうでしょうか。

 アメリカでは、モンサントやアベンディス、バイエルアグロサイエンスとかの企業が遺伝子組み換えの除草剤耐性の米を開発しています。日本にも申請し、アメリカでの生産を始めるというところまで来ています。それはいずれ日本に輸出されるでしょう。昨年カンクンでのWTO閣僚会議が決裂しましたが、あのとき農産物の関税引き下げが議論となりました。日本のコメは四九〇%の高関税がかけられているため輸入がないわけですが、協議では関税率に二〇〇%とか、一〇〇%とかの上限を設定する話になってきているわけです。そもそもWTO交渉は関税を下げていき、最後にはゼロにするために協議を重ねているのですから、このままいけば必ず米輸入の時代が来るのです。そういう事態を見越してアメリカで組み換えイネを生産することを企業が画策していると思います。しかも日本も同じような思惑で、岩手の生物工学研究センターとか北海道、筑波、四国の農業技術研究センターなどが組み換えイネ開発を行っているのです。

国内栽培は認められない

 このような状況の中で私たちはどうしたらよいのかということです。今アメリカとカナダにモンサント社の除草剤耐性小麦の申請が出されて、世界中の大きな懸念になっています。日本のバイヤーたちが、遺伝子組み換えの生産が始まれば混入は避けらないので、普通の小麦の買い付けもできなくなると警告を発しています。つい先だってカナダ政府はモンサント社との遺伝子組み換え小麦の共同開発は断念すると発表しました。(※注モンサント社は五月に商品化を見送ると発表した。)

 バイオ作物懇話会は今年の春も組み換え大豆の試験栽培をするといっています。農水省は安全評価を済ませ、食品として輸入を認めたものについては基本的に植え付けても良いと答弁し、さらに、このたび農水省が発表した試験栽培のガイドラインで、「大豆は一〇m、稲は二〇m、ナタネ・トウモロコシは六〇〇m離せば植えて良い」ことになりました。この距離をとれば交雑は絶対起きないという保証はないでしょう。汚染を作り出し、国産作物の優位性を損ない、消費者の選択権を奪う農水省の姿勢に憤りを感じます。

誰のための遺伝子組み換えか

 「組み換えの作物を食べたい、ぜひ売って欲しい」という国はどこにもないのです。

 あの南アフリカの飢餓に直面している国々にアメリカは食糧援助として殺虫トウモロコシを送りました。ジンバブエのムガベ大統領は、「先進国の消費者が食べたがらない、安全が確認されていない殺虫トウモロコシを、我々が飢えているからといって、ゴミを捨てるかのように、我々のところに投げ込む。例え我々は餓死しても、これを国民に食べさせるわけにはいかない」と言って敢然と拒否しました。他の国々もこれに続いて拒否したのです。世界中食べたいという人がいないものを、何故押し込んでくるかということです。生物特許を盾に特許料をかけた高い種子を農家に売り、かつ遺伝子汚染を作り出し、逆に特許侵害で罰金をとりたてる。種子を支配し、食料を支配する。多国籍企業は、WTOの「貿易自由化」を錦の御旗に掲げ、自社の最大利益を追求するために、農民の自立、消費者の権利、環境保全、国家の独立や民主主義まで踏みにじっていることが、遺伝子組み換え問題を通して見えてくるのです。

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