JAPAN ORGANIC AGRICULTURE ASSOCIATION

日本有機農業研究会

 北海道でGM作物栽培規制ガイドライン制定

日本有機農業研究会 『土と健康』 04年4・5月合併号
北海道有機農業研究会事務局長 石塚 おさむ

 北海道におけるGM作物栽培規制のガイドラインは、最終段階でGM推進派の意向も汲む形で決着しました。すなわち、「ガイドラインの策定に当たっての基本認識」の冒頭で、「遺伝子組換えなどバイオテクノロジーの研究開発は、将来的な本道の産業振興に有用であり、積極的な取組を進めることが必要と考えている。」と掲げたのです。また、「今後の取り組み」で、「試験研究機関が研究ほ場で行う遺伝子組換え作物の栽培に係る試験については、その実施条件を別途検討する。」とし、試験研究機関を規制対象にするかどうかの結論を先送りしました。

 しかしながら、全文を読んでもらえればわかりますが、開放系でのGM作物栽培を規制する姿勢に変わりはありません。全体としてちぐはぐな内容になってしまいましたが、これを後退と見るのではなく、積極的に評価していきたいと思います。来年に制定が予定されている「条例」の中でしっかり規制できるかどうか、これからが正念場です。今後も北海道の動きを注視していてください。


北海道

北海道における遺伝子組換え作物の栽培に関するガイドライン

平成一六年三月五日

1 背 景

 (1)近年、道内では、一般の農家での遺伝子組換え大豆の栽培や国の試験研究機関における開放系での遺伝子組換えイネの栽培試験が相次いだことなどにより、遺伝子組換え作物に不安を持つ消費者団体や生産者を中心に栽培中止などを求める声が高まっており、昨年一二月には第四回北海道議会定例会において、遺伝子組換え作物の非承認などを求める意見書が採択されたところである。

 (2)一方、農林水産省は、本年二月の遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成一五年法律第九七号。以下「カルタへナ法」という。)の施行を踏まえ、所管する独立行政法人の栽培実験を対象に周辺の一般作物との交雑などを防止するための指針(第一種使用規程承認組換え作物栽培実験指針)を策定したところである。

 (3)こうした状況の中で、道は、当面、道立農業試験場における実用品種の育成を目的とした遺伝子組換えの研究を見合わせるとともに、「食」に関する条例(仮称)案の中で遺伝子組換え作物の栽培を規制する方向で検討を進めている。

2 ガイドラインの策定に当たっての基本認識

 (1)遺伝子組換えなどバイオテクノロジーの研究開発は、将来的な本道の産業振興に有用であり、積極的な取組を進めることが必要と考えている。

 (2)しかし、道民はもとより全国の消費者が、遺伝子組換え食品に強い不安感を抱いており、また、遺伝子組換え作物の花粉の飛散による一般作物との交雑などが懸念される。

 (3)こうした状況の中で、道内において、開放系で遺伝子組換え作物の栽培が行われることは、道産食品に対する風評被害や本道農業の著しいイメージダウンにつながる恐れがある。

 (4)このため、道としては、道内における開放系での遺伝子組換え作物の栽培について、消費者や生産者などの理解を得ながら慎重に対応することが必要と考えている。

3 目 的

  このガイドラインは、遺伝子組換え作物の花粉の飛散による一般作物との交雑などを防止するとともに、道産食品に対する消費者の安全・安心・信頼を確保し、北海道ブランドの一層の向上を図るため、道内における遺伝子組換え作物の開放系での栽培に関する道としての対応方針などを示すものである。

4 ガイドラインの位置付け

 (1)遺伝子組換え作物の栽培の規制については、平成一六年度中の提案を予定している「食」に関する条例(仮称)案の立案の中で別途検討を進めているが、このガイドラインは、2に掲げる基本認識を踏まえ、早急に対応することが必要であることから、当面の間の対応方針として示すものである。

 (2)ガイドラインの目的を達成するためには、生産者や試験研究機関をはじめ、市町村や農業団体などの理解と協力が必要であり、それぞれの立場で、このガイドラインに沿った積極的な取組を期待するものである。

5 ガイドラインの適用範囲

 このガイドラインの適用範囲は、道内における開放系での遺伝子組換え作物の栽培とする。

 ※「開放系での遺伝子組換え作物の栽培」とは、施設、設備その他の構造物の外の大気、水又は土壌中に遺伝子組換え作物が拡散することを防止するために執る措置(カルタヘナ法第二条第六項に規定する措置をいう。)を執らないで行う遺伝子組換え作物の栽培をいう。

6 道としての対応方針

 道は、道内における開放系での遺伝子組換え作物の栽培について、市町村や消費者団体、農業団体などの関係機関及び関係団体などと連携及び協力しながら、次に掲げる対応方針に基づき対処する。

 (1)道は、開放系での遺伝子組換え作物の栽培について、2に掲げる基本認識を道内における生産者や試験研究機関等に対して周知する。

 (2)道は、毎年度、市町村や農業団体などの協力を得て、生産者や試験研究機関等を対象に翌年度における開放系での遺伝子組換え作物の栽培に係る計画を調査するとともに、その調査の結果の概要について道民に情報提供を行うものとする。

 (3)道は、(2)の調査により、開放系での遺伝子組換え作物の栽培に係る計画を把握した場合には、当該作物の栽培を行おうとする者に対して、2に掲げる基本認識を説明した上で、その栽培を中止するよう要請を行うものとする。

 (4)(3)の中止の要請にもかかわらず、開放系での遺伝子組換え作物の栽培を行おうとする者に対して、道は、周辺農家の一般作物との交雑などを防止するための万全な措置を講じるよう、要請を行うものとする。

 (5)道は、現に把握していない開放系での遺伝子組換え作物の栽培が行われていることが判明した場合は、市町村や農業団体などの協力を得て、速やかに栽培の実態に関する調査を実施し、栽培者に対して、当該作物の栽培の中止及び処分の要請を行うものとする。

 (6)道は、開放系での遺伝子組換え作物の栽培が行われた場合は、必要に応じて周辺農家における花粉の飛散による一般作物との交雑などを確認するための調査及び分析を行うものとする。

7 今後の取組

 (1)遺伝子組換え技術に関する情報を消費者をはじめ道民に積極的に提供し、正確な知識の普及及び啓発に努める。

 (2)試験研究機関が研究ほ場で行う遺伝子組換え作物の栽培に係る試験については、その実施条件を別途検討する。

 (3)(2)の検討は、「食」に関する条例(仮称)案の検討の中で行うこととし、同条例案の提案を予定している来年二月までに結論を得る。

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