JAPAN ORGANIC AGRICULTURE ASSOCIATION

日本有機農業研究会

 ますます危険な方向へ 後代遺伝子組み換え品種の“駆け込み承認”

日本有機農業研究会 『土と健康』 03年10月号 中部よつ葉会 村上 喜久子

 厚生労働省は、六月一二日のプレスリリースで、遺伝子組み換え(以下GM)品種同士の掛け合わせた六品種の安全確認を公開しました。新聞は日本農業新聞と読売新聞が小さく報道したのみ。一三日にパブリックコメントを求めるプレスリリースが厚生労働省のHPに出されたようですが、締め切り日は一八日と極めて短期間であり、常時ホームページを検索していない限り、応募することはできない状況でした。安全確認の内容も「それぞれ安全確認されているGM品種同士を掛け合わせるのだから、できたGM品種も安全」と、素人が考えても乱暴なもの。すぐに名古屋大学の河田昌東さんに専門家としての見解をまとめていただくことを依頼し、七月三日、GMイネの試験栽培について交渉予定だった院内集会(於議員会館)で、この問題も取り上げることになったのです。

 院内集会で明らかになったのは、七月一日以降、食品安全基本法施行に伴う機構改革で安全性評価が食品安全委員会へと移ることや、コーデックス会議の新ガイドラインやカルタヘナ条約で安全性基準が見直しとなるのも待たずに“駆け込み認可”だったことです。何をそんなに急ぐ必要があったのでしょう? GM品種同士の掛け合せた品種があって、日本での認可を待っているというわけでもないとのこと。一昨年、ストップ遺伝子組み換え汚染種子ネットで、日本で国内栽培される飼料用のトウモロコシ種子(アメリカ産)を調べた結果、四〇%にGM汚染があり、一種類の種子から複数のGM品種を検出していますが、GMの交雑による種子汚染はますます深刻な様相を呈しつつあります。それを追認するための認可ではないかとも疑われます。

 今回GM品種同士を掛け合わせた品種の安全性を確認した根拠についても、「一九九五年のワークショップを受けた九六年のWHOの報告書で述べられているが、どのような判断でこのような報告書に至ったかを答える立場でないので申し上げられません」と、消費者の懸念に対して、全く答えようともしません。

 食品安全委員会が発足し、これまでの安全性基準はやめて、新しくコーデックス委員会の七月のガイドラインやFAO、WHOの報告書、各国の科学的知見を汲んで検討することになるというのですが、それがいつ頃を目処にしているのか、また、再審査を求める手順を聞いても判然としないままでした。

 河田さんは、「基本的にこの情報は古い。今は全然状況が変わっている。いろいろな個別の組み換え体に対する問題がこの後出てきた。九六年当時、まだ具体的なことは何もわかっていなかった。従ってこれを根拠にするのは危険ではないか。FAOとWHOのGMOに対する評価で実質的同等性を再評価するということが二〇〇〇か二〇〇一年に出されているはず。遺伝子同士の相互作用がないといわれたが、それが本当に実験的に調べられたものかどうかについては疑わしい。Btと除草剤耐性の間に理論的には関係なさそうにみえるが、遺伝子の調節とか、つくられた蛋白質同士の関係は、単純ではないことがわかってきている。現在の知見の上で判断するべきではないか。」と質問しました。ですが、「聞きおくだけで、答える必要はない」との冷たい対応でした。

 「GM同士の掛け合わせの認可自体、世界でも日本が初めてであり、他に例がない」と厚生労働省。この国は一体何をしようとしているのか。食品安全委員会なるものの発足で、むしろ責任の所在はなすりあいとなり、国民の食の安全を守るべき行政はますます形骸化するのではないかと懸念しています。

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