JAPAN ORGANIC AGRICULTURE ASSOCIATION

日本有機農業研究会

 GM作物の栽培規制を北海道知事に要請
  手応えあり! 期待しましょう

日本有機農業研究会 『土と健康』 03年10月号 北海道有機農業研究会 事務局長 石塚おさむ


 本会では、一九九六年より遺伝子組み換え問題に取り組んできました(当時は、日本有機農研北海道グループ)。会員は皆、本業が忙しくて大したことはやっていませんが、勉強会の開催、知事選時に候補者への公開質問状を送付、知事への申し入れなどできることをしてきました。

 昨年、北見の農家が除草剤耐性大豆を一町歩植えたことがわかり、皆大変なショックを受けました(これは開花前にすき込まれました。)。聞けば全国各地でモンサント社の同大豆の試験作付けがあったという。そして今年は札幌にある国の研究機関一般圃場で組み換えイネが植えられ、またも全国各地でモンサント大豆の試験栽培。

 一方で、花粉飛散による遺伝子汚染の様子がニュースで伝えられ、またこれら組み換え遺伝子による生体への悪影響も徐々に明らかになってきました。

 世論調査で国民の大多数が遺伝子組み換え作物に不安を持っていると出ているにもかかわらず、こうして国内各地の一般圃場で次々に栽培されていく状況に、反対運動の限界を感じてもいました。

 たまたま北海道庁農政部には私たち有機農研の仲間が主要ポストにいることもあり、この際、北海道に厳しい規制を作らせたらどうかという意見が会員の間から上がりました。同時期に滋賀県知事が「県内では遺伝子組み換え作物を植えさせない」と発言し指針づくりに着手。「大豆の主産地である北海道がこれをやらなくちゃ」と意を強くした私たちは、九月一九日、北海道知事宛てに「北海道における遺伝子組み換え作物の栽培を禁止する条例の制定を求める要請書」を提出しました。数年前にはあり得なかったことですが、要請の場にはTVカメラが数台入り、新聞記者も非常に熱心でした。道側の対応も事前に話し合いしていたこともあり、予想以上に前向きでした。大豆や小麦の主産地であるからこそ、規制を設けることで全国に与えるインパクトが大きいのですが、だからこそ、それを成し遂げていくのは大変な困難を伴うと思われます。現在の担当課の方々は非常に熱心に取り組んでいますので、全国からエールや情報を送っていただければ嬉しいです。

北海道農政部道産食品安全室
 札幌市中央区北3条西6丁目
 電話 011―231―4111(内線27―665または27―657)
 FAX  011―232―7334

 有機農業をしている者にとって、知らないうちに隣の農家がラウンドアップレディ大豆を植えていたなんていう状況があり得る話となってきました。私たちは、目下、生産者向けのわかりやすいちらしを作製中です。北海道による規制づくりと併行して、私たち自身も問題点を広く知らせる努力をしていこうと思っています。

モンサントによる農業支配を許すな!
自分たちの食べ物は自分たちの手で!
遺伝子汚染を食い止めよう!

  石塚おさむ 北海道勇払郡早来町安平562
  TEL/FAX 01452―3―2430


要 請 書

 二〇〇三年九月一九日
 北海道知事 高橋はるみ様

北海道有機農業研究会 会長  金井 正

北海道における遺伝子組み換え作物の栽培を禁止する条例の制定を求める要請書


 日頃、北海道の農業振興、また安全な食の確立のためにご尽力されていることに敬意を表します。本会は道内の有機農業者、研究者、消費者などで構成する団体で、有機農業栽培技術の相互研鑽、有機農業的な暮らし、食べ方、環境、医療、教育などを包括的に探究しております。ここ数年は特に遺伝子組み換え技術の是非について真剣に議論してまいりました。

 さて、遺伝子組み換え作物に関してですが、昨年は北見において組み換え大豆の試験的作付けが行なわれ、今年は札幌において組み換えイネがやはり一般圃場において栽培されています。しかしながらこの事について私たちは以下の点で大きな危惧を抱いています。


1 目的遺伝子が組み込まれる位置により、目的とする効果以外に何が起きるか、どんなタンパク質ができるのか不明なことの多い、いわば未確立の技術であること。
2 目的遺伝子とセットで組み込まれる発現遺伝子や終止符遺伝子、選別のための遺伝子などが、予期しない影響を組み換え体もしくは組み換え体を摂取した者に与えているという研究報告があること。
3 組み換え作物の花粉が栽培中に飛散したり、虫で運ばれるなどして、近隣の畑で栽培されている同種の通常品種の作物と交雑し、遺伝子レベルでの汚染を引き起こしていること。とくにトウモロコシでは顕著で、すでにカナダ、アメリカでは回復不可能にまで、遺伝子汚染が進んでいる。また、他家受粉しにくいとされている大豆でも、低率ながら交配するので、汚染が進んでいる。こうした遺伝子レベルでの汚染は、種子により広がり、回収が不可能である。
4 北見で作付けされたモンサント社の除草剤耐性大豆は、除草剤(グリフォサート)を発芽後に散布することから、大豆への当該物質の残留が大きくなり、消費者の求める安全な作物の栽培に逆行するものであること。


 このようなことから、現時点では開放系の圃場では組み換え作物を栽培すべきではないと考えます。
 そもそも本道は、大豆、小麦など国内自給率の低い作物の主産地であり、品質も良いことから食品メーカーや消費者から好評を得ています。万が一、販売目的で遺伝子組み換え作物が栽培されるようなことがあれば、遺伝子汚染や意図せざる混入の起きるおそれがあり、北海道産農産物全体の安全性に対する信用は失われます。
 全農など農業団体や食品メーカーは、国産であっても遺伝子組み換えのものは仕入れないと言明しており、実際に作付けされたものはもちろん、交雑の可能性のある近隣のものも買い取り拒否に合うことは避けられないでしょう。風評被害の起きるおそれもあります。
 これまで、本道農産物は、「クリーン農産物」ということで安全・安心をアピールし、定評を得てきました。長い間かかって築き上げてきたその信用を損なうような行為はすべきではありません。
 ひとたび人工遺伝子に汚染された自然は、二度と元には戻りません。取り返しがつかなくなる前に、慎重にも慎重な予防的な措置をとらねばなりません。
 遺伝子組み換え作物を栽培して得をするのは、最終的には、特許を握り、種子市場と農薬市場を寡占している一握りの米国巨大化学会社だけです。彼らの利益のために、私たちの命、健康、自然環境を遺伝子汚染の危機にさらすことはなりません。子孫のためにも、まさにクリーンな農業環境、自然環境を守りつづける責務があります。
 この際、北海道は、「組み換え作物は道内で栽培しない」旨の宣言をしてください。そしてまた、条例により、栽培には道や地元自治体の承認、また地元住民の同意が必須であること、そして花粉飛散や混入を避けることなど、実際には栽培できないような厳しい規制を行うようにしてください。
 大豆、小麦の主産地である北海道がこのような動きをとることこそ、国産の安全な農産物の産地であることを全国に向けて強くアピールすることになり、本道農業に対する信頼が増すと思われます。
 北海道が農業で自立していくために、農産物の安全性の確立は不可欠です。多くの世論調査で、国民のほとんどが遺伝子組換え食品に不安をもち、できれば食べたくないと答えています。安全で安心できる国内農産物の主要な産地として将来にわたり自立していくためにも、独自の状況判断を行ない、時には国の政策の誤りを正し、むしろ国をリードしていくぐらいの気概を持つべきです。
 北海道の決断こそが、今後の道内農業、ひいては日本農業への希望をもたらすに違いありません。北海道が即刻、遺伝子組換え作物の栽培を拒否する宣言をだし、規制に着手することを要請します。

 以上のことについてご検討いただき、本日より二週間以内に文書でご回答いただきますようお願い致します。
 なお、宣言や条例の中身については、今後、策定作業の中で別途提案させていただきたいと思います。


以上

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