JAPAN ORGANIC AGRICULTURE ASSOCIATION

日本有機農業研究会

 遺伝子組み換え作物の栽培をやめさせよう!!
 「遺伝子組み換え作物を作付けさせない全国集会―GM稲・GM大豆を拒否し、グローバリゼーションと闘う!」

日本有機農業研究会 『土と健康』 03年10月号 安田 節子

 九月一〇日、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンの主催で開催された集会は、これまで組み換え稲や大豆の作付けを阻止するために地元で闘ってきた人たちや支援してきた人たちが一堂に会する場となりました。会場いっぱいの参加者でした。


第一部 シンポジウム WTOと遺伝子組み換え作物

基調報告「WTOとGMO」 天笠啓祐さん

 この集会はメキシコのカンクンで九月一〇日から開かれているWTO(世界貿易機関)の閣僚会議にあわせて開催した。

 WTOが進める自由化と国際統一化が問題。WTOの三つの協定(農業協定、植物検疫協定、知的所有権協定)が遺伝子組み換え作物に影響している。農業協定による輸入強制、植物検疫協定による安全基準の国際統一化、そして知的所有権協定により、米国の特許制度が世界の特許制度とされ、生命特許がシュマイザーさんの例を起こしている。

 国際規格を策定するコーデックス委員会バイオテクノロジー応用食品特別部会が組み換え食品の安全性評価について、四年間の議論を経て今年出した結論は、これまでの「実質的同等性評価」にお墨付きを与えるものでしかなかった。

 一方、バイオセーフティ議定書が九月一一日に発効し、国内法が出来ることになった。この議定書発効により遺伝子組み換え生物の国際間移動に歯止めがかけられること、予防原則の確立と第三世界・資源国の利益保護などが図られる。ただし、米国は離脱して加わらず、かつ介入している。

 次に、国や地域をめぐる動きとして、作付け国は米国モンサント社の一極支配になっている。焦点は昨年GMワタの作付けを開始したインドと、これまで栽培と販売を禁止していたブラジルが禁止を解除する裁定を出した。ただし、三人の判事の一人の裁定であり、残る二人については未定で、覆る可能性はある。

 米国モンサント社の種子独占が問題。大豆と綿の支配が進み、次は主食の稲と小麦がターゲットになっている。米国は二〇〇五年に小麦を認可する可能性が高い。

 欧州は新しい表示制度を可決成立させ、米国からの輸入は実質禁止となる。しかし、作付け指針で組み換えとの共存を示し、作付けが解除された。各国が今後法律を作成していく。

 日本では、これまで開発をしていた民間企業が撤退し、公的研究機関が推進をしている。

 消費者の動向が鍵となる。


「誰のためのWTOか」

佐久間智子さん(「環境・持続社会」研究センター)

 WTOとGATTとの主な違いは、法的拘束力があること、モノ(鉱工業製品と林水産物)だけではなく、農業、サービス、投資、知的所有権なども管轄することだ。しかも、WTOは、意思決定プロセスの不透明性と非民主性と、類を見ない強大で広範な権限を有するという問題がある。

 二〇〇一年のドーハ閣僚会議でドーハ交渉開始が宣言され、交渉期限は二〇〇五年一月一日。ドーハ交渉の現状は、農業における三つ巴の対立、知的所有権と医薬品における企業利益の優遇、サービス・投資分野における急進的な自由化要求など。一回国境を越えてくれば国内扱いとされ、米国基準と日本国内や自治体条例が異なっていれば米国基準が適用される。例えば大規模店舗規制法があったが、WTOからの命令で中止となった。知的所有権では生物特許の国際一般化がされている。社会・環境よりも商業の権限を広げていくのがWTOだ。

 メキシコ・カンクンでの閣僚会議はWTOが発足して五回目となる。三回目のシアトル閣僚会議では先進国だけの密室会議で進めるやり方などに批判を強めた市民と第三世界諸国の殴りこみで頓挫した。以後、NGOが閣僚会議のすべての大会議にオブザーバー参加ができるようにはなった。WTOは一国一票制だが、一番大事なコンセンサスをとったことがない。

 第四回のドーハ閣僚会議ではドーハ開発アジェンダを決めたが、途上国に配慮といいながらしていない。途上国政府のうち、農業輸出国である国々は農業の自由化を主張している。

 日本・欧州は投資の自由化を主張し、これまであった雇用・部品調達義務をなくしたいと考えている。


「世界の農業・食料とWTO」

大野和興(農業ジャーナリスト・脱WTO草の根キャンペーン)

 WTO体制のもとで何がおこっているか。フィリピンのセブ島では小作農に土地を解放する方向で進んでいた改革が、国際競争が激化するなかで地主的大土地所有を株式会社化するのが打ち勝つ道と認識されるようになった。土地開放を求める農民への暴力行為がなされている。アセアン自由貿易圏では、タイのコメ輸出、フィリピンの砂糖輸出がお互いの生産者を圧迫して農民はどの国も大変になっている。タイではパームオイルのプランテーションとするため土地が企業に集中していっている。アフリカでは基本食料の生産のかわりに欧州に輸出するコショー、ココア、コーヒー生産に土地が使用されている。中国では野菜輸出が九〇年代後半から伸びて、二〇〇万トン輸出しているが、ショウガ、ニンニク、ネギなどは一五分の一に値が下がっている。日本企業が入って過当競争となり、連作障害が起きている。日本の品種は種代が高いうえ、日本にしか売れないため農家の借金は増えている。


「生命に特許はいらない」

ポール・マッカーティン(生命に特許はいらないキャンペーン・カトリック司祭)

 「いただきます」という日本語はいのちをいただいて生きているという大事なことば。日本の農法は自然の力をいただくものだった。「いただいて、感謝して他の人々と分かち合うこと」これが人間的生き方。

 生命は人間がつくるものではなく、いただくもので商品にすること、売買することはよくないこと。すべてのものを商品にしたい、売りたいという貿易する人たち。遺伝子にまで特許を設定した。米国である人の友人がエイズで亡くなったが、自分はならないので研究所で調べたら、エイズにかかりにくい遺伝子があることがわかった。研究所はその人に無断でこれを利用して薬をつくるためこの遺伝子に特許をかけた。米国科学者は世界中の先住民の血液サンプルを集め、役に立つ遺伝子探しをしている。先住民にはなんの見返りもなく、企業だけが儲かる。米国は強制的に生命特許をWTOを通して世界中に認めさせようとしている。最近ではWTOだけでは物足りないので二国間貿易協定を進めたいと考えている。宗教者として生命に特許はいらないキャンペーンを立ち上げた。ポスター・冊子を作ったので広めて欲しい。

 債務帳消し運動に参加しているが、フィリピンの国家予算の三分の一が債務返済に充てられている。半分当てている国もある。IMF・世銀の帳消し条件は構造調整プログラムを実施することだ。モノの輸出で収入を債務返済にあてさせる。そのためガーナでは栄養失調が問題なのに耕地の半分がカカオマメの生産に当てられている。コロンビアでは輸出用切花に土地を使用するという具合だ。

第二部 各地からの報告

 岩手から生活クラブ岩手の熊谷さん、北海道から遺伝子組み換えいらないネットの泉谷さん、茨城から常総生協の大石さん、滋賀から市民オンブズマン滋賀の浅井さん、大阪から生協連合きらりの川島さんが登壇し、組み換えイネや大豆の作付けに対して地元での運動の経過を報告した。地元の人たちの闘いがあってこそとの感謝の思い、そして多くの人たちの連携があって阻止する力となっていると改めて感じさせられた。


「運動提起」

天笠啓祐さん

 愛知のGM「祭晴れ」を中止に追い込んだ結果、今年の愛知県のバイオ関連予算は半分になり、遺伝子組み換え予算はゼロになった。北海道、岩手のGMイネを止めるために署名運動を続けていきたい。

 今年四月、三菱化学がGMイネ事業部門を売却し、これで組み換え作物開発を行ってきた企業はすべて撤退したことになる。企業としてはモンサント社のみで、あと、自治体と国が進めている。自治体では岩手県と島根県が積極的な県だ。島根県ではGMメロンが開放温室で作付けを開始し、来年は一般圃場へと移る。

 これから全国署名と集会で岩手と北海道のイネを止めよう! 一一月二八日に岩手で全国集会を開催する。

 バイオ作物懇話会の動きをどう止めるか。全国監視ネットワークを作りたい。作付けに対する牽制となる活動をしたい。

 二〇〇五年にはGM小麦が米国で認可される可能性が高い。米国カナダ両大使館への申し入れや米国バーモント州からきた人によれば、日本の消費者の発言は強力な圧力という。いろいろなところがいろいろ言っていくことがだいじ。

 カナダのシュマイザーさんを支援するシュマイザー基金のため『GM汚染』という本を出版した。収益はすべて基金へいく。協力をお願いしたい。





【追記】

 メキシコ・カンクンで開かれていたWTO閣僚会議は、九月一四日、閣僚宣言案の調整が成らず決裂、喜ぶNGO活動家たちの姿が映し出された。一五日には、宣言を出すのを断念したまま、閉会した。シアトル(一九九九年)に次ぐ、二度目の失敗である。合意がならなかった農業交渉は、今後は二国間自由貿易協定の交渉などに場を移すことが予想される。  カンクンの閣僚会議に向けて、世界各地で、また、カンクンで、WTOに反対するデモや抗議活動が行われた。そのなかで、九月一〇日、「世界農民の日行動」のデモの途中、韓国の農業指導者イー・ギョンヘさんがバリケードにのぼり、「WTOは農民を殺す」という旗をふって抗議の自殺をした。多国籍企業の利益に走るWTOは、農民の生存を脅かしている。自らいのちを経つ農民が跡を絶たないことを、イーさんは自らのいのちをもって訴えた。故人の冥福を祈ります。

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