JAPAN ORGANIC AGRICULTURE ASSOCIATION

日本有機農業研究会

 遺伝子組み換え作物の栽培を阻止しよう!

日本有機農業研究会 『土と健康』 03年8・9月合併号 科学部 山田 勝巳

生命全体をおびやかす遺伝子組み換え

 GM作物は、いったん環境に放たれると回収が不可能です。有機農業運動では遺伝子組み換えを認めていません。JAS法に基づく有機認証制度においても遺伝子組み換え品種の使用が禁止されています。ただし私たちは、JAS法があるから反対しているのではなく、本来必要のないものであるばかりか、生命全体を脅かすから反対しているのです(本誌2月号参照)。

GM大豆栽培の進行と対策

  国内栽培が現在までにわかっただけで4カ所あります。茨城2カ所、岐阜、滋賀各1ヵ所。茨城県谷和原村のGM大豆は、花粉飛散による在来大豆への遺伝子組み換え汚染を恐れた農民によって鋤き込まれましたが、開花後1週間近く放置されていました。放置されていた事実は、農家にとっても、遺伝子組み換えを望まない消費者にとっても脅威です。

問題は花粉だけではない

 花粉は、特にトウモロコシ、ナタネはかなり飛散することが知られているので、汚染の主要な要因です。しかし、自殖性の強い大豆だからよいということにはなりません。極度のストレスや昆虫がなければあまり交雑はしないといっても、皆無ではないのです。これは米(イネ)も同じです。

 種子を収穫した場合、収穫時にこぼれたり、輸送中にこぼれたり、倉庫で混ざったりといったことが必ず起こります。これは混入といいますが、混入したものが次の年には交雑にまで進みます。交雑と混入の両方に対応しなければGM汚染は防げません。

 屋外の栽培、ましてや一般の圃場で交雑を防ぐ方法はありません。隔離圃場とは研究室内しかありえません。時差栽培(開花期をずらす)も不完全です。混入を防ぐ方法はありません。

GMとの共存はできない

 ヨーロッパでは、これまでとられてきたGM承認停止(事実上のモラトリアム)の解除を図るためにと、GMとの共存をいかに図るかが議論されていますが、交雑、混入が防げないのですから共存はありえないことです。

 EUで議論が起きているのは、EU委員会など推進したい勢力が反対する消費者や農家にいいかげんな妥協をすすめているからです。農家や農民団体、多くの消費者は断固反対しています。

 今や、有機農業志向は世界の潮流です。GM栽培は、これに逆行します。今、GMとの共存という発想でGM栽培を認めてしまえば重大な障害になります。

GMありきの議論ではだめ

 表示や混入率といったGM規制、トレーサビリティ、共存議論は、すべてGM食品があることを前提としています。しかし、GM作物栽培では、遺伝子汚染されないという保障はまったくないのです。わずかでも汚染されるのですから、これは、「栽培しない」ことです。

 「いらない!」のなら、ゼロです。GMありきの議論では、汚染は広がってゆくのです。反対する人が、ここまでなら許せるなどと言えば、問題の本質を見失ってしまいます。原点に立った運動を展開する必要があります。

農水省のGM推進に歯止めを

 谷和原村の問題に続いて、七月三一日、茨城県の河内村にあるモンサントの試験圃場をみたところ、そこでもGM大豆とGMコーンが栽培されており、花粉の飛散対策は取られていませんでした。この事で農水省と話合いを持ち(八月六日)、以下の見解を得ました。

1 隔離圃場とは外部から人畜の侵入を防ぐためのもの。花粉飛散を防止するものではない。
2 国内で食品・飼料として安全性が確認されて認可され、環境影響の安全性が確認されたものは、自由に栽培してよい。従って、登録、監視等の必要はないし、していない。
3 JAS法にもとづく有機認証制度では、種苗が遺伝子組み換えのものであってはならない。それだけしか規定はなく、花粉の飛来や意図しない混入などによる遺伝子汚染があっても、それは有機といえる。(注・これに対し司会が「失言だ」と追及したが、技術安全課長は「失言ではない」と強調したことは問題。)

 その後、八月一三日の話合いで、「遺伝子組み換え作物いらない!茨城ネットワーク」の人たちが、「他にも栽培されている所があるのでは? 岐阜は? 滋賀は?」と追及して初めて、岐阜と滋賀県内でもGM大豆が作付けされていることが明かされました。

 私たちには、どこで、どれだけ栽培されているか知る術がありません。未認可の試験中のものでも全部が明らかになっていません。企業秘密が国民の不安に優先しているのです。

 既成事実を作って諦めさせる推進テクニックかもしれません。汚染されても有機などという許されざる発言。汚染されたものは、自家採種すればGM種子になってしまう。次の年には、有機は栽培できなくなるということです。

地元で監視を

 岩手では、GMイネの監視ネットワークが発足しました。北海道でも、試験栽培の監視活動が続いています。茨城では、「遺伝子組み換え作物いらない!茨城ネットワーク」が発足しました。署名活動や抗議活動も起こされています。

 今後、どこでどんなGM作物が栽培されるか、全く予断を許しません。各県、各地域で監視していかなければなりません。網の目を小さくして市町村単位まで監視する方向で動くことが重要です。そして同時に相互の連携を広げ、県段階、国段階、世界規模の運動とのつながりをつくっていくことも必要です。

 シュマイザーさんの件でわかるように、モンサントが代表するGM推進は、政官を抱き込んだ巧みな宣伝とお土産工作で拡大しています。地元レベルでの対策をとっていこうではありませんか。

各県や地元市町村への要請を!

 山形・藤島町が出したような反GMの町宣言と条例を是非とも獲得していただきたいと思います。地域の行政とともに市民(消費者も、農民も)が団結して取り組めたらよいし、行政が協力しない場合でも、市民が団結して監視と阻止ができればと思います。

 以下は、例です。地域会員とともに案を練って、実現に向けて行動を起こしてください。


1 消費者も農業生産者も、遺伝子組み換え食品を望んでいないが、わが(県市区町村)の農地ではGM作物を栽培しないようにしてもらいたい。
 GM作物の栽培は、遺伝子汚染が避けられないだけでなく、地域の農業環境を汚染し、地域農業への不信を招いて地域農業に打撃を与える。
 有機農業や環境創造型農業の方向をめざすべきである。そのためには、その障害となるGM作物の栽培を禁止すること。
 →栽培しないということを明示した県市区町村の声明・宣言を出す
 →栽培しないということを明示する県市区町村の条例を制定する
 →国、県などに対し、栽培禁止を要求する意見書を議会で議決して提出する

2 農民の権利の擁護
 「安全である権利」は、消費者の権利としてよく知られているが、農民には、「安全な食べ物をつくる権利」がある。汚染されない農業環境・自然環境が保障されなければならない。
  →「GM作物から汚染を受けない権利」の擁護
 そのためには、GM作物の栽培をさせないことが基本である。次のような点は、実際に可能かどうか検証させる。
a 圃場外に花粉が飛散しないようにする。他殖性のものも。
b 圃場外の作物に交雑が起こるおそれがある場合の検査費用、回収費用、汚染種子の買い取り費用などを栽培者が支払う。
c 種子汚染がなければ将来得たであろう利益の損害まで含んだ損害を栽培者が支払う。
d 種子や子実は決してこぼれないように収穫する。
e 種子や子実は他作物や他の圃場に行かないように混入防止、散逸防止を行う。
f 栽培地、栽培面積、栽培者をすべて公開する。
g 圃場、収穫物、販売品等には必ずGM作物である表示をする。

農と食を守るため、がんばりましょう!

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