JAPAN ORGANIC AGRICULTURE ASSOCIATION

日本有機農業研究会

 第31回日本有機農業研究会全国大会分科会報告
 第5分科会 遺伝子組換えと日本の農業

日本有機農業研究会 『土と健康』 03年6月号 座長 鎌形 正樹

 第五分科会は、安田節子さんに遺伝子組換え食品の現状について、山田勝已さんに種子の汚染や特許侵害の裁判についての話しをしていただき、質疑を行いました。

安田節子さん(食政策センター「ビジョン21」主宰)

 遺伝子組み換え作物は、人間の都合がいいように農業を変えていこうという近代農業の延長上に出てきた技術と捉えた上で、流通の現状と問題点を次のようにまとめてくれました。

 そもそも食料の多くを輸入に頼っていることが問題で、中でも大豆は、食用油、豆腐、しょうゆなどの原料として、また家畜の飼料として大量に輸入しています。大口輸入先のアメリカでは、2002年で約8割が遺伝子組換え品種となっています。同じくトウモロコシは、約6割と言われています。これらの遺伝子組換え農産物のかなりの割合を日本は輸入しています。

 しかし、現在日本では、24品目の食品しか表示義務はありません。しかも5%以下の混入は表示しなくていいことになっています。ヨーロッパでは、0.5%以上入ればすべての食品で表示が必要とされています。日本もすべての食品に表示をするべきです。

 日本はじめヨーロッパで表示対象になった業界は、一斉に非組換え作物(原料)にシフトしています。国際的な拒否にあって、在庫が増加したことなどにより、アメリカがアフリカ諸国へ食料援助に遺伝子組換えトウモロコシを送ったことがあります。この時ジンバブエ、モザンビーク、ケニアなどは拒否しました。

 このように世界中で拒否する動きが広がっているにもかかわらずなぜ作りつづけるのでしょうか。これは、種子に特許をかけることができるからと思われます。

 さらに食品としての安全性もまだ不安な点が多いのです。例えば安全性審査については、開発した企業の試験データを審査するだけで、国が追試験しているわけではないことや、慢性毒性試験がないこと、マウスなどの動物試験までで、人問での臨床試験はしてないことなどです。日本人が一番たくさん食べて、人体実験を自分でしているようなものです。

 消費者が、食べたくない物は食べない、買わないとはっきり意思表示することが大変大切で、企業や行政への効果も高いのです。

山田勝巳さん(ストップ遺伝子組換え汚染種子ネットワーク)

 日本が主な輸入先にしていみアメリカで、遺伝子組換え作物の割合が非常に多い大豆とトウモロコシは、自給率がきわめで低く問題であると、安田さん同様まず指摘されました。話の内容は、以下のとおりです。

 食料もさることながらじつは種子も輸入が多くて、例えばトウモロコシの種は約90%が輸入です。しかも、遺伝子組換えした品種に汚染され始めているのです。汚染の過程は省きますが、虫媒花・風媒花はかなりの距離で交配する危険があるということを忘れてはなりません。

 一方、日本国内でも水稲の遺伝子組換え研究が、大学・試験場などで盛んに行われています。実用化にかなり近づいている研究もあるようで、国内の一般農場で遺伝子組換え作物が栽培されることになれば、混入や交配などによる汚染はさらに進むと考えられます。

 アメリカ政府や多国籍バイオ企業は、特許によって種子を独占しようとしています。この特許取得競争に日本政府も稲だけはなんとしても勝ちたいという背景があるようです。

 また、特許に関係して起こった問題として、カナダでモンサント杜から訴えられているシュマイザーさんの話は、質問に答える形で説明をしていただきました。経緯は、次のようなものでした。

シュマイザーさんの闘い

 カナダ・サスカチェワン州のP・シュマイザゾさん(71歳)は、1170エーカーの土地でナタネと小麦を作る農家。モンサント社は、1996年から自社製品のラウンドアップという除草剤をかけても枯れない遺伝子組換えナタネを販売し始めました。これは特許種子なので、無断で栽培すると特許侵害になると、種子を買わない農家の圃場を検査して歩いたそうです。そしてその組換えナタネが検出されたら、検査結果を示して持許料を請求する。要求に応じないと裁判にかけると脅す。なお拒否して裁判に至っているのは、シュマイザーさんのほか若干名だそうです。1審が2001年3月、二審が02年9月に出ましたが、いずれも「どのようにして生えていたかは問わず、生えていたこと自体が特許侵害だ」と判断されて負けてしまいました。

 しかし裁判はまだ続いています。別の有機農家950軒は、遺伝子組換え菜種による損害賠償と、遺伝子組換え小麦の差し止め請求裁判を02年12月に起こしています。

 バイオ企業の今後の動きとしては、農作物から医薬品へ比重を移して行くと見られています。例えばトウモロコシに医薬品成分を作る遺伝子を入れるというようなことが研究及び実用化されつつあり、一部新たな間題も起きているとのことでした。

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