JAPAN ORGANIC AGRICULTURE ASSOCIATION

日本有機農業研究会

 食べたくない!! もらいたくない!!
 ―遺伝子組換え食品の現在

日本有機農業研究会 『土と健康』 02年12月号 科学部 安田 節子

 遺伝子組換え(GM)作物を商業栽培しているのは、現在米国(72%)、アルゼンチン(17%)、カナダ(10%)で、この三国で、商業栽培面積の99%を占めている。米国はGMの主な生産国であり、大豆、トウモロコシ、綿では生産面積の半分以上がGM品種が占める。

 しかし、米国の、GMが大量に混ざった作物は、いまや輸入国の強い拒否に直面している。現在35ヵ国以上がなんらかの輸入制限や表示の義務を課したり、その予定にある。欧州連合は一九九八年以来新たなGM輸入認可を凍結している。そして今年七月欧州議会はGMを0.5%以上含むすべての食品・添加物.飼料に表示と追跡可能性を義務付けることを多数決で採択。欧州の規制は一層厳しいものとなる。

 米国政府はアグロ(農業)バイオ産業の死を意味するとして食品にGM表示をしない方針だが、ABC Newsなどの主要な世論調査によればいまや消費者の90%が表示を求めているという。世界保険機関(WHO)や米国医師協会はGM食品の段階的廃止を求めている。8月に発表された米科学アカデミーの専門委員会報告では、遺伝子組換え生物が生態系に悪影響老与える危険性や組換え生物が作る新たな蛋白質がアレルギー反応を引き起こす可能性から「現在のFDA(食品医薬品局)の規制は不十分」と指摘している。組換えの殺虫トウモロコシ、「スターリンク」にみるように殺虫蛋白のBTエンドトキシンはヒトや動物の免疫システムや消化システムに害を与える。米国でGM殺虫トウモロコシを自家飼料とした何件もの養豚家の豚が受胎率が八割も下がってしまったということも報道されている。

 日本は、現在6作物(大豆、トウモロコシ、菜種、綿実、ジャガイモ、甜菜)43品目の輸入流通が認められ、量的にもGM作物の最大の輸入国となっている。しかし、2001年4月から、大豆とトウモロコシについては24食品に表示が義務化され、表示対象となった業界は一斉に非組換え作物ヘシフトした。こうしたGM作物への国際的な担否状況は米国産のトウモロコシ・大豆の在庫を増やしている。

 現在南アフリア6カ国の1300万人もの人々が旱魃による激しい飢餓に見舞われている。これに対し、合衆国国際開発局(USAid)は食料援助として組挨えトウモロコシ3万6千トンを送った。しかし、ジンバブエのムガベ大統領は「先進国の消費者が望まない、そして安全性も確認されていないものを国民に食べさせるくらいなら餓死の道を選ぶ」と言って敢然と拒否した。モザンビーク、ザンビア、ケニアも同様に拒否した。これに対しUSAid高官は怒って「こじきに選択権はない」と発言。

 8月アフリカで開催されたヨハネスプルグ地球サミットの宣言文に「途上国のためにバイオ工学の提供が必要」とする一文が盛り込まれたが、米国の強い働きかけが功を奏した結果だ。米国農務長官アン・ベニーマンは「飢餓のあるところにバイオ工学はとてつもなく大きな意義がある」と断言するが、彼女は世界最初のGMトマトを作ったカルジーン社の元部長だ。カルジーン社は現在モンサント社に保有されている。米国の「回転ドア」といわれる官業癒着は一層強まっている感がある。モンサント社とその関連企業が2002年共和党選挙運動資金として献金した額は200万ドル(約2億4千万円)に上っている。

 また、米国は圧倒的力を背景に、輸入禁止を決めたスリランカ、ボリビア、クロアチアなど小国に対し、貿易障壁としてWTO提訴と高額罰金で脅して禁止措置を無期延期にさせた。このように世界中どこにも食べたいと望む人たちがいないのに、無理やり食べさせようとしているのは、彼ら多国籍企業が特許をかけられるGM種子による食料支配を狙っているからだ。特許のかかった種では自家採種は禁止であり、違反者には重い罰金が課せられる。さらにバイオ工学で第二世代の種子は発芽できないようにした技術も開発される。

 アグロバイオの多国籍企業5社がすでに販売種子の25%を支配している。農家が多国籍企業に支配されない、自前の種を持つことがますます重要になっている。

 食品としての安全性については新たな知見によって一層安全性への疑いが強まっている。そもそも安全性評価といっても、安全性試験は開発企業たとえばモンサント社のみが行い、そのデータは企業秘密として秘密にされる部分が多く、他の科学者による再検証(ピアレビュー)を許さない、いんちき科学なのだ。今年7月英国ニューキャッスル大学で行われたボランティア(人工肛門の人たち)による始めての人での実験で、GM大豆を食事で食べた後のテストで組み換え由来のDNAが腸内バクテリアに取り込まれていた。これまで消化器官内に入った組換えDNAは消化液で分解されるので問題ないとされてきたが、これが覆ったこどになる。

 こうした状況からみても、日本が組換えイネを応用化するなど、とりかえしのつかない愚行ではないだろうか。

(食政策センター「ビジョン21」主宰)


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